2022.11.29

責任限定契約書~テンプレートと解説~

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ここでは責任限定契約についての解説と、責任限定契約書のテンプレートを提示します。
IPO進行上、社外役員を登用する事となりますが、この際、責任限定契約を締結するのが近年のスタンダードとなっています。
必須の事だと認識して対応して行くのが良いでしょう。

責任限定契約とは


役員は、その任務を怠ったことにより会社に損害を与えた場合、その損害について損害賠償責任を負います。

(役員等の株式会社に対する損害賠償責任)
会社法第四百二十三条
取締役、会計参与、監査役、執行役又は会計監査人(以下この節において「役員等」という。)は、その任務を怠ったときは、株式会社に対し、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。


ただし、会社が定款で定めがある前提で、善意でかつ重大な過失が無い場合には当該損害賠償の範囲を限定する事ができます。
これが責任限定であり、その契約を責任限定契約と言います。

(責任限定契約)
会社法第四百二十七条
第四百二十四条の規定にかかわらず、株式会社は、取締役(業務執行取締役等であるものを除く。)、会計参与、監査役又は会計監査人(以下この条及び第九百十一条第三項第二十五号において「非業務執行取締役等」という。)の第四百二十三条第一項の責任について、当該非業務執行取締役等が職務を行うにつき善意でかつ重大な過失がないときは、定款で定めた額の範囲内であらかじめ株式会社が定めた額と最低責任限度額とのいずれか高い額を限度とする旨の契約を非業務執行取締役等と締結することができる旨を定款で定めることができる。


この範囲、つまり責任の金額は、定款で予め定めた範囲内で株式会社が定めた額と、最低責任限度額とのいずれか高い額となります。

最低責任限度額とは、ようは役員報酬1年分(受けるべき財産上の利益1年間相当額)に一定の係数をかけたものになります。

  1. 代表取締役又は代表執行役 6
  2. 代表取締役以外の取締役(業務執行取締役等であるものに限る。)又は代表執行役以外の執行役 4
  3. 取締役(イ及びロに掲げるものを除く。)、会計参与、監査役又は会計監査人 2


(責任の一部免除)
会社法第四百二十五条
前条の規定にかかわらず、第四百二十三条第一項の責任は、当該役員等が職務を行うにつき善意でかつ重大な過失がないときは、賠償の責任を負う額から次に掲げる額の合計額(第四百二十七条第一項において「最低責任限度額」という。)を控除して得た額を限度として、株主総会(株式会社に最終完全親会社等(第八百四十七条の三第一項に規定する最終完全親会社等をいう。以下この節において同じ。)がある場合において、当該責任が特定責任(第八百四十七条の三第四項に規定する特定責任をいう。以下この節において同じ。)であるときにあっては、当該株式会社及び当該最終完全親会社等の株主総会。以下この条において同じ。)の決議によって免除することができる。
一 当該役員等がその在職中に株式会社から職務執行の対価として受け、又は受けるべき財産上の利益の一年間当たりの額に相当する額として法務省令で定める方法により算定される額に、次のイからハまでに掲げる役員等の区分に応じ、当該イからハまでに定める数を乗じて得た額
イ 代表取締役又は代表執行役 六
ロ 代表取締役以外の取締役(業務執行取締役等であるものに限る。)又は代表執行役以外の執行役 四
ハ 取締役(イ及びロに掲げるものを除く。)、会計参与、監査役又は会計監査人


責任限定契約書~テンプレート~


対象役員氏名(変更する)(以下「本役員」という。)と対象会社(変更する)(以下「会社」という。)とは、会社の非業務執行取締役等(会社法第427条第1項により定義される非業務執行取締役等を意味する。以下同じ。)としての本役員の責任について、以下のとおり本責任限定契約書(以下「本契約」という。)を締結する。

(目的)
第1条
本契約は、会社の定款及び会社法第427条その他の法令の定めに従い、本役員が会社の非業務執行取締役等として職務を行うにつき会社に対し損害を与えた場合における、本役員の損害賠償責任に関して限度を定めることを目的とする。

(法令および定款と本契約との関係)
第2条
本契約に定めのない事項に関しては、会社の定款及び会社法その他法令の定めるところによる。

2.本契約に基づく責任限定は、絶対唯一のものではなく、会社の定款又は会社法その他の法令による他の責任限定及び救済を妨げるものではない。

3.総株主の同意又は会社法第425条若しくは会社法第426条の定めに基いて、第3条に規定する限度を超える部分の全額について本役員の責任が免除された場合には、本契約は適用されないものとする。

(賠償責任の限定)
第3条
本役員の会社法第423条第1項の責任について、本役員が職務を行うにつき善意でかつ重大な過失がないときは、会社法第425条第1項で定める最低責任限度額を本契約に基づく責任の限度額とする。

2.会社は、前項が、非業務執行取締役等の責任限定契約に関する会社の定款の規定と整合していることを本役員に保証する。

(会社法上の制約等)
第4条
本役員が本契約によって第3条に規定する限度を超える部分について損害を賠償する責任を負わないとされた場合、本役員は、会社法上必要な手続を完了するまでは、会社法第425条第1項第2号の新株予約権を行使又は譲渡することができない。

2.本役員が本契約によって第3条に規定する限度を超える部分について損害を賠償する責任を負わないとされた場合において、本役員が会社法第425条第1項第2号の新株予約権を表示する新株予約権証券を所持するときは、本役員は、遅滞なく、当該新株予約権証券を会社に預託するものとする。

(効力)
第5条
本契約は、本契約の締結日に効力を生じ、本役員が会社の非業務執行取締役等としての地位を喪失する時まで効力を有するものとする。なお、本役員が任期満了その他の理由で形式上会社の非業務執行取締役等としての地位を喪失した場合であっても、即時に再選され引き続き会社の非業務執行取締役等としての地位を保有することとなった場合には、引き続き本契約が有効に適用されるものとする。

2.本役員が会社の業務執行取締役等(会社法第2条第15号イにおいて定義される業務執行取締役等を意味する。)に就任したときは、本契約は、将来に向かってその効力を失うものとする。

3.本契約が終了した場合でも、本役員が本契約の有効期間中に会社の非業務執行取締役等として行った行為に関しては、本契約は適用され、なおも本契約の効力は及ぶものとする。

(税務処理)
第6条
本役員は、本契約に基づく責任の減免に関する税務上の問題については自己の責任及び費用で処理するものとする。

(役員賠償責任保険)
第7条
個別契約がある場合を除き、会社は、役員賠償責任保険に関して、加入するか否か、加入する場合の保険契約の内容その他の事項を、その裁量で適宜決定することができる。

(契約内容の変更)
第8条
本契約の内容は、本契約の当事者の書面による合意によってのみ変更することができる。

(完全合意)
第9条
本契約は、本契約に含まれる事項に関する本契約の当事者間の完全な合意を構成し、口頭又は書面によるとを問わず、当事者間の本契約に定める事項に関する事前の合意、表明及び了解に優先する。

(分離可能性)
第10条
本契約のいずれかの条項又はその一部が無効又は執行不能と判断された場合であっても、本契約の残りの規定及び一部が無効又は執行不能と判断された規定の残りの部分は、継続して完全に効力を有し、本契約の当事者は、当該無効若しくは執行不能の条項又は部分を適法とし、執行力を持たせるために必要な範囲で修正し、当該無効若しくは執行不能な条項又は部分の趣旨並びに法律的及び経済的に同等の効果を確保できるように努めるものとする。

(準拠法及び合意管轄)
第11条
本契約の準拠法は日本法とし、本契約に関連して生じた紛争については、被告の住所もしくは本社所在地を管轄する地方裁判所を第一審の専属的合意管轄裁判所とする。

(協議)
第12条
本契約に定めのない事項及び解釈の疑義については、法令の規定並びに慣習に従うほか、両当事者誠意をもって協議解決を図るものとする。

以上を合意した証として、本電子契約書ファイルを作成し、それぞれ電子署名を行う。

紙の写しも用意する場合

以上を合意した証として、本電子契約書ファイルを作成し、それぞれ電子署名を行う。
なお、本契約においては、電子データである本電子契約書ファイルを原本とし、同ファイルを印刷した文書はその写しとする。


紙での締結とする場合

以上、本契約締結の証として本書2通を作成し、本役員及び会社が記名押印の上、各1通を保有する。


YYYY年MM月DD日

以下署名欄

本役員:
住所
氏名          印

会社:
住所
会社名
代表取締役       印

定款記載例


責任限定契約を締結する場合に前提となる定款の記載事例は下記の通りです。

記載が無い場合には、対象役員就任のタイミングで定款改定をあわせて行うと良いでしょう。

(取締役の責任免除)
第〇〇条
当会社は、会社法426条第1項の規定により、任務を怠ったことによる取締役 (取締役であった者を含む。) の損害賠償責任を法令の限度において、取締役会の決議によって免除することができる。
②当会社は、会社法第427条第1項の規定により、取締役(業務執行取締役等であるものを除く。)との間に、任務を怠ったことによる損害賠償責任を限定する契約を締結することができる。ただし、当該契約に基づく責任の限度額は、法令が規定する最低責任限度額とする。


(監査役の責任免除)
第〇〇条
当会社は、会社法426条第1項の規定により、任務を怠ったことによる監査役 (監査役であった者を含む。) の損害賠償責任を法令の限度において、取締役会の決議によって免除することができる。
②当会社は、会社法第427条第1項の規定により、監査役との間に、任務を怠ったことによる損害賠償責任を限定する契約を締結することができる。ただし、当該契約に基づく責任の限度額は、法令が規定する最低責任限度額とする。



以上

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