2022.11.27

株主総会議事録テンプレート、書き方のポイント_一括審議方式

thumbnail-x56fbs85b1bq

ここでは株主総会のテンプレート(一括審議方式)を提示すると共に、書き方のポイントについて解説します。
近年はガバナンス強化が求められており、特にIPO準備企業においては定型的な議事録では無く、実態の伴う株主総会運営が必要です。
株主総会議事録の充実は、その証明にもなるので、きちんと内容を理解し記載するようにしましょう。

株主総会議事録テンプレート


株主総会議事録


開催日時 YYYY年MM月DD日(AAA曜日)hh時
開催場所 東京都〇〇区〇〇町〇丁目〇番〇号 〇〇〇〇ホテル「〇〇〇」会議室

ポイント
日時・場所は法定記載事項ですので、明確に記載する必要があります。



出席した取締役および監査役
代表取締役 〇〇〇〇(議長、議事録の作成に係る職務を行った取締役)
取締役 〇〇〇〇
〇〇〇〇
〇〇〇〇
〇〇〇〇
監査役 〇〇〇〇
〇〇〇〇
〇〇〇〇

欠席した取締役および監査役
取締役 〇〇〇〇(遠隔地駐在のため)

ポイント
株主総会に出席した取締役、監査役、執行役、会計参与、会計監査人は法定記載事項です。
なお、取締役、監査役、執行役、会計参与には、株主総会における説明義務があるとされており、間接的に参加義務が課せられている、と考えられます。
ただし、本質は説明義務を果たすことにあるため、必ずしも欠席をしてはならない、というものではなく、説明義務を果たせる状況があり、妥当な理由があれば欠席に問題はありません。



出席株主数および議決権数
議決権を行使することができる株主の数   〇,〇〇〇名
その議決権数 〇〇〇,〇〇〇個
本日出席の株主数   〇,〇〇〇名
(議決権行使書によるものを含む)
その議決権数 〇〇〇,〇〇〇個

ポイント
議決権の数は法定記載事項ではありませんが、定足数を充たしているか否かを確認する観点で、記載するのが一般的です。



以上のとおり株主の出席があったので、定刻、代表取締役〇〇〇〇は、定款第〇〇条の定めに基づき議長席に着き、〇〇株主総会は適法に成立したことを述べ、開会を宣した。
次いで、議長は本日の株主総会の運営方法としては、報告事項および決議事項についての審議を一括して行いたい旨を述べ、株主の発言は報告事項の報告および決議事項の上程、事前質問に対する回答が終了した後に受け付ける旨を述べたところ、出席株主の議決権の過半数の賛成をもって承認可決された。

ポイント
開会の宣言から株主総会がはじまります。
まず、出席株主数と議決権数の報告から入り、定足数を充たしている事を説明するのが通常です。
また、一般的には議長となる者が定款で定められており、その条項に基づいて開会宣言について記載します。
通常は定刻に株主総会がはじまりますが、何かしらの要因(災害等により交通機関や道路が乱れた等)により、開催時間が遅れた場合には、要因と共にその旨を記載します。
なお、議長に事故がある時には、職務代行者が議長に就任しますが、その旨も該当する定款の条項数と共に記載します。
続いて、株主が発現して良いタイミングについて説明の内容を記載します。
これは議長には、株主総会の秩序を維持し、議事を整理する権限があることによります。
上記は一括審議方式の例です。



議長はまず、監査役の監査報告を求めたところ、〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇の報告がなされた。

ポイント
監査報告がある場合には、その内容を記載します。
こちらは別に解説します。



報告事項

〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇の件

議長より、〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇の報告があった。


決議事項

第1号議案 〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇の件

議長より、〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇の説明があった。

第2号議案 〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇の件

議長より、〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇の説明があった。

ポイント
(ある場合には)監査報告の後に報告事項、決議事項に入ります。
一括審議方式では、各決議事項の都度で決議は行わず、決議事項全ての説明があった後に審議が行われます。



次に、議長より、〇〇〇〇〇〇〇〇に関し株主からあらかじめ提出されている質問について、〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇と説明があった。
その後、議長は報告事項および決議事項の審議について一括して行うことを説明し、出席株主に質問を求めたところ、株主より、〇〇〇〇〇〇〇〇に関し質問がなされ、議長から、〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇と説明があった。
(質問の分、繰り返し。)
その他に質問はなかったので、以上をもって報告事項および決議事項についての質疑を終了し、各議案の採決に入った。

ポイント
事前質問は、株主総会における質問とは取り扱いませんが、事前に質問が出ている場合に一括して回答を行う場合があります。
上述の通り、一括審議方式での流れですので、質疑を一括して受け付けています。



第1号議案 〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇の件

議長が本議案の賛否を議場に諮ったところ、出席株主の議決権の過半数の賛成があったので、原案通り承認可決された。


第2号議案 〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇の件

議長が本議案の賛否を議場に諮ったところ、出席株主の議決権の3分の2以上の賛成があったので、原案通り承認可決された。

以上をもって、本総会における報告事項および決議事項の全議案の審議が終了したので、議長はhh時mm分閉会を宣した。
上記議事の経過の要領およびその結果を明確にするため、本議事録を作成し、議長が次に記名押印する。

株式会社〇〇〇〇
代表取締役 〇〇〇〇 印

ポイント
閉会の宣言の記載の後、議事録について記載するのが一般的です。
なお、議事録作成者(議事録の作成に係る職務を行った取締役の氏名)は法定記載事項です。
通常は議長(代表取締役)となるでしょう。
代表取締役で記名押印(会社の実印)で対応すれば良いです。
出席取締役については、必ずしも記名押印する必要はありません(記載は必須では無いですが、出席取締役も記名押印するパターンの方が慣習的に多いです)。


関連法令等


会社法施行規則
(議事録)
第七十二条 法第三百十八条第一項の規定による株主総会の議事録の作成については、この条の定めるところによる。
2 株主総会の議事録は、書面又は電磁的記録をもって作成しなければならない。
3 株主総会の議事録は、次に掲げる事項を内容とするものでなければならない。
一 株主総会が開催された日時及び場所(当該場所に存しない取締役(監査等委員会設置会社にあっては、監査等委員である取締役又はそれ以外の取締役。第四号において同じ。)、執行役、会計参与、監査役、会計監査人又は株主が株主総会に出席をした場合における当該出席の方法を含む。)
二 株主総会の議事の経過の要領及びその結果
三 次に掲げる規定により株主総会において述べられた意見又は発言があるときは、その意見又は発言の内容の概要
(中略)
四 株主総会に出席した取締役、執行役、会計参与、監査役又は会計監査人の氏名又は名称
五 株主総会の議長が存するときは、議長の氏名
六 議事録の作成に係る職務を行った取締役の氏名
4 次の各号に掲げる場合には、株主総会の議事録は、当該各号に定める事項を内容とするものとする。
一 法第三百十九条第一項の規定により株主総会の決議があったものとみなされた場合 次に掲げる事項
イ 株主総会の決議があったものとみなされた事項の内容
ロ イの事項の提案をした者の氏名又は名称
ハ 株主総会の決議があったものとみなされた日
ニ 議事録の作成に係る職務を行った取締役の氏名
二 法第三百二十条の規定により株主総会への報告があったものとみなされた場合 次に掲げる事項
イ 株主総会への報告があったものとみなされた事項の内容
ロ 株主総会への報告があったものとみなされた日
ハ 議事録の作成に係る職務を行った取締役の氏名

会社法
(取締役等の説明義務)
第三百十四条 取締役、会計参与、監査役及び執行役は、株主総会において、株主から特定の事項について説明を求められた場合には、当該事項について必要な説明をしなければならない。ただし、当該事項が株主総会の目的である事項に関しないものである場合、その説明をすることにより株主の共同の利益を著しく害する場合その他正当な理由がある場合として法務省令で定める場合は、この限りでない。

(議長の権限)
第三百十五条 株主総会の議長は、当該株主総会の秩序を維持し、議事を整理する。
2 株主総会の議長は、その命令に従わない者その他当該株主総会の秩序を乱す者を退場させることができる。

取締役会の運営管理プラットフォーム「michibiku/ミチビク」


「取締役会の運営管理をもっと効率化したい」と感じていませんか?

取締役会の運営管理プラットフォーム「michibiku/ミチビク」なら、招集通知の作成・回覧、取締役会議事録の作成・文面サジェスト・会議音声の文字起こし・回覧、電子署名、書類管理までがシステムで一括管理が可能です。
紙とハンコから脱却し、取締役会管理のDX化と法律を遵守した業務フローを実現します。

クラウド上で簡単に操作ができるため、ストレスなく導入ができます。

また、取締役会以外にも監査役会/監査等委員会、その他、経営会議やリスク・コンプライアンス委員会といった会社で行われている重要会議も管理することができます。

「michibiku」の資料をダウンロードしてみる
「michibiku」の資料をダウンロードしてみる

profile

ライター:ミチビク編集部

michibiku+は、取締役会、監査役会、監査等委員会の手続きをDXするクラウドサービス「michibiku」から生まれた、コーポレートガバナンス関連情報に特化したメディアです。 コーポレート・ガバナンスDXサービス「michibiku」だけでは解決しきれない様々な悩みや課題に対して、実務に直結する情報を発信していきます。

search
white-paper
注目記事

ミチビク導入をご検討の方はこちら