2022.08.25
【IPO関連用語解説】取締役,社外取締役,取締役会とは
ここでは、取締役、社外取締役、取締役会について用語解説していきます。
会社経営における意思決定機関のベースとなり、基本ながら非常に重要な概念です。
その役割や権限は、採用する機関設計に応じて変わりますが、ここではベーシックな所を抑えます。
取締役とは
まず、取締役会設置会社における取締役についてです。
取締役とは取締役会の構成員であり、取締役会設置会社においては3人以上を選任する必要があります。
会社法
(取締役の資格等)
第三百三十一条 (中略)
5 取締役会設置会社においては、取締役は、三人以上でなければならない。
(以下略)
そして、取締役会設置会社においては以下の権限は取締役には無く、取締役会で決定しなければなりません。
会社法
(取締役会の権限等)
第三百六十二条 (中略)
2 取締役会は、次に掲げる職務を行う。
一 取締役会設置会社の業務執行の決定
二 取締役の職務の執行の監督
三 代表取締役の選定及び解職
(以下略)
そして取締役の権限は業務の執行となります。
会社法
(取締役会設置会社の取締役の権限)
第三百六十三条 次に掲げる取締役は、取締役会設置会社の業務を執行する。
一 代表取締役
二 代表取締役以外の取締役であって、取締役会の決議によって取締役会設置会社の業務を執行する取締役として選定されたもの
(以下略)
取締役設置会社では無い会社の場合には、取締役が会社の代表であり、また業務を執行する者となります。
会社法
(株式会社の代表)
第三百四十九条 取締役は、株式会社を代表する。ただし、他に代表取締役その他株式会社を代表する者を定めた場合は、この限りでない。
2 前項本文の取締役が二人以上ある場合には、取締役は、各自、株式会社を代表する。
(以下略)
(業務の執行)
第三百四十八条 取締役は、定款に別段の定めがある場合を除き、株式会社(取締役会設置会社を除く。以下この条において同じ。)の業務を執行する。
(以下略)
なお、いずれの場合においても、取締役は株主総会の決議を経て選任される必要があります。
会社法
(選任)
第三百二十九条 役員(取締役、会計参与及び監査役をいう。以下この節、第三百七十一条第四項及び第三百九十四条第三項において同じ。)及び会計監査人は、株主総会の決議によって選任する。
(以下略)
社外取締役とは
社外取締役とは、以下の定義に該当する取締役の事を指します。
ようは、会社の関係者では無かった取締役の事ですね。
会社法
(定義)
第二条 (中略)
十五 社外取締役 株式会社の取締役であって、次に掲げる要件のいずれにも該当するものをいう。
イ 当該株式会社又はその子会社の業務執行取締役(株式会社の第三百六十三条第一項各号に掲げる取締役及び当該株式会社の業務を執行したその他の取締役をいう。以下同じ。)若しくは執行役又は支配人その他の使用人(以下「業務執行取締役等」という。)でなく、かつ、その就任の前十年間当該株式会社又はその子会社の業務執行取締役等であったことがないこと。
ロ その就任の前十年内のいずれかの時において当該株式会社又はその子会社の取締役、会計参与(会計参与が法人であるときは、その職務を行うべき社員)又は監査役であったことがある者(業務執行取締役等であったことがあるものを除く。)にあっては、当該取締役、会計参与又は監査役への就任の前十年間当該株式会社又はその子会社の業務執行取締役等であったことがないこと。
ハ 当該株式会社の親会社等(自然人であるものに限る。)又は親会社等の取締役若しくは執行役若しくは支配人その他の使用人でないこと。
ニ 当該株式会社の親会社等の子会社等(当該株式会社及びその子会社を除く。)の業務執行取締役等でないこと。
ホ 当該株式会社の取締役若しくは執行役若しくは支配人その他の重要な使用人又は親会社等(自然人であるものに限る。)の配偶者又は二親等内の親族でないこと。
(以下略)
社外取締役の役割は、簡単に言うと取締役会の実効性の担保です。
近年、ガバナンス強化の風潮の中、有価証券報告書の提出義務がある会社において、社外取締役の設置は義務となっています。
IPO準備上も、社外取締役の選任はほぼ必須となっています。
なお、社外取締役の性質上、独立役員の要件に該当する人物を選任する事が望ましいです。
会社法
(社外取締役の設置義務)
第三百二十七条の二 監査役会設置会社(公開会社であり、かつ、大会社であるものに限る。)であって金融商品取引法第二十四条第一項の規定によりその発行する株式について有価証券報告書を内閣総理大臣に提出しなければならないものは、社外取締役を置かなければならない。
取締役会とは
上述の通り、取締役会とは3人以上の取締役により構成される意思決定機関です。
基本は取締役会の設置は任意としつつ、下記に該当する場合には取締役会を設置しなければなりません(また、基本的には取締役会設置会社は監査役を選任しなければなりません。会計参与の制度を利用している会社も少数です。)。
会社法
(取締役会等の設置義務等)
第三百二十七条 次に掲げる株式会社は、取締役会を置かなければならない。
一 公開会社
二 監査役会設置会社
三 監査等委員会設置会社
四 指名委員会等設置会社
2 取締役会設置会社(監査等委員会設置会社及び指名委員会等設置会社を除く。)は、監査役を置かなければならない。ただし、公開会社でない会計参与設置会社については、この限りでない。
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本用語解説は、IPO実務上の観点での記載であり、投資観点での記載は行っておりません。
同様に、情報の提供を目的としたものであり、金融商品の勧誘を目的としたものではありません。
ライター:ミチビク編集部
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