2022.11.22

【規程テンプレート】執行役員規程

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ここでは執行役員規程のテンプレートを提示します。
決して必須の規程では無いですが、執行役員制度を設ける場合は、明確に定めておく方が良いです。

執行役員規程


第1章 総則


(目的)
第1条
本規程は、当社の執行役員の職務、選任、業務執行方法、報酬、退任等に関する基本的事項について定める。

2.本規程に定める事項以外のことについては、法令、定款、就業規則および取締役会の定めるところによる。

(定義)
第2条
執行役員とは、取締役会によって選任され、業務執行をそれぞれ分担して行う責任者のことをいい、純粋な使用人として個別業務分野の執行を担当し、責任を負うものとする。

(忠実義務)
第3条
執行役員は、取締役会および代表取締役の統括の下に職務の執行を行い、取締役とともに経営の責任者の一翼を担うことを自覚し、他の規範となるよう常に研鑽を重ねて誠実かつ忠実に執行役員としての職務を全うする義務を負い、もって社業の発展に努めるものとする。

第2章 就任


(選任)
第4条
執行役員は、取締役の推薦に基づき、取締役会の決議によって選任されるものとする。

2.執行役員は、取締役と同様の法定の要件を備え、人格ならびに識見ともに優れ、その職責を全うすることのできる者でなければならない。

~ポイント~
取締役と同様の法定の要件とは、次のようなものです。
①法人
②成年被後見人、被保佐人、外国の法令上これらと同様に取り扱われている者
③会社法、一般社団法人及び一般財団法人に関する法律の規定に違反し、又は金融商品取引法、民事再生法、外国倒産処理手続の承認援助に関する法律、会社更生法、破産法に規定されている一定の罪を犯し、刑に処せられ、その執行を終わり、又はその執行を受けることがなくなった日から2年を経過しない者
④上記3以外の法令の規定に違反し、禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わるまで又はその執行を受けることがなくなるまでの者(刑の執行猶予中の者は除かれます)

ここまで触れるかは議論がありますが、リスク要因を排除したいという意向が強いのであれば、盛り込むことも検討しましょう。



3.本条第1項により選任された者を代表取締役は執行役員に任命する。

4.執行役員の就任は、取締役会の選任決議により定められた日付とする。

(執行役員の地位)
第5条
執行役員は、取締役に準じるものであり、従業員の最高位と位置付ける。

第3章 退任


(退任)
第6条
執行役員が次の各号のいずれかに該当するときは退任とし、執行役員としての身分を失う。

  • 任期満了
  • 辞任
  • 解任
  • 死亡
  • 執行役員の資格を喪失


(辞任)
第7条
執行役員が辞任する場合は、3ヶ月前までに取締役会に届け出るものとする。ただし、特段の事由がある場合はこの限りでない。

2.執行役員を辞任し、会社を退職する場合は、職務の引継を完了し、かつ辞任後といえども、その責務に係る職務については責任を負い、会社が必要と認めたときは会社に協力するものとする。

~作成のポイント~
執行役員といえど、一般の従業員と法的な立場は同様なのですが、当該役職につかれるような方の場合、はい辞めます、とは行かないのが一般的かと考えられます。
就業規則と同様の考え方で、かつ執行役員の職責を踏まえ、適切な届け出の期間を設定すると良いでしょう。



(解任)
第8条
執行役員に不正あるいは不当な行為があった場合、あるいは背信を疑われる行為があったとき、その他執行役員としての適格性に問題があると認められた場合には、取締役会の決議によって解任することができる。

(資格喪失)
第9条
執行役員が、法令に定める取締役の欠格事由と同一の事由に該当したときは、執行役員の資格を喪失するものとする。

2.執行役員が監査役に就任した場合は、執行役員の資格を喪失する。

~作成のポイント~
第4条のポイントと同様の内容です。
なお、追加として監査役に就任した場合、に触れておく事も考えられます。
取締役兼執行役員、というパターンも会社によってはあるので、取締役への就任が資格喪失にならないとする場合は多いです。
もちろん、取締役への就任を資格喪失事由とする事も考えられます。



(従業員身分との関係)
第10条
執行役員を退任した者は、原則として従業員として会社との雇用関係が継続するものとする。

~作成のポイント~
執行役員は、会社が任意に定める役職ですので、執行役員の退任イコール退職とは限りません。


第4章 服務


(権限)
第11条
取締役会は、選任した執行役員について、業務の執行権限を委譲する。

2.取締役会は、いつでも執行役員の執行業務の内容その他について変更することができる。

3.代表取締役は、執行役員の職務の執行を統括し、指揮監督する。

4.取締役会及び各取締役は、執行役員の職務の執行を監督し、その責任を負う。

(責務)
第12条
執行役員は、次の事項に留意して所管業務の執行にあたらなければならない。

  • 取締役会で決定した当社の方針及び代表取締役の指示に基づき、担当業務について責任を持って誠実に執行にあたること。
  • 各々職責を十分に自覚し、責任を持って創意と工夫をこらし、忠実に執行にあたること。
  • 各部門との統一と協同のもとに、部下の監督、指導、教育を行い、取締役会及び代表取締役、取締役との連絡を密にして執行にあたること。
  • 自己の担当する業務はもとより、全社的立場に立って執行にあたり、当社の業績向上、株主の利益の確保にも努めること。


(報告義務)
第13条
執行役員は、取締役会または代表取締役の求めに応じて、自己の担当する業務執行の状況について報告しなければならない。

(取締役会への出席・報告義務)
第14条
執行役員は、取締役会に出席を求められたときは出席しなければならない。

2.執行役員は、毎月1回は担当事項の執行状況について取締役会に報告を提出しなければならない。

~作成のポイント~
取締役会や執行役員の位置づけをどう考えるか次第ですが、取締役会への出席や報告義務を盛り込む場合も考えられます。



(機密保持)
第15条
執行役員は、業務上知り得た会社の秘密を保持し、会社に対して不名誉あるいは不利益となるような言動および行為をしてはならない。

2.前項については、退任後も遵守しなければならない。

~作成のポイント~
執行役員であろうがなかろうが、ここに書いてある事は守らなければならないのですが、触れている場合が一般的です。



(禁止事項)
第16条
執行役員は、次に定める事項をしてはならない。

  • 会社法その他の法令または会社の規則等に定める義務に違反すること。
  • 従業員を社用以外の目的に使用すること。
  • 会社の承認なく、会社内において宗教活動または政治活動をすること。
  • 会社の承認なく、自己または第三者のために取引を行うこと、会社の事業以外の事業を営むこと、その他内職等兼業をなすこと、または他の事業に参加することによって個人的な収入を得ること。
  • 職務上の地位を利用して手数料・リベート等の金品を収受すること。
  • 性的嫌がらせとなる行為等、従業員および社外の関係者に不安感・不信感を抱かせ、または動揺を起こさせる言動をすること。
  • 職務上知り得た秘密を正当な理由なく会社の内外に漏洩または開示すること、または会社の名誉または信用を害するような行為または言動をすること。
  • 職場の秩序を乱すような行為をすること。
  • 会社の資産を会社の承認なく社用以外の目的に流用、利用すること。
  • その他、会社の利益を害する一切の行為。


~作成のポイント~
一般的な禁止事項について例示しています。
他には、競業避止などを盛り込むことも考えられます。
「執行役員は当社の承認なく在職中はもとより退職後2年間は当社の競業業務を行い又は競業を営んではならない。」



(勤務)
第17条
執行役員の勤務は、「就業規則」の定めるところに準じるものとする。

(出張)
第18条
執行役員が出張する場合は、「出張旅費規程」の定めるところにより、取締役に準じて扱う。

~作成のポイント~
会社によっては、取締役用の出張旅費規程か条項を設けている場合があります。
執行役員の出張を、取締役基準かそれとも一般社員基準か、決めて記載します。


第5章 報酬


(報酬)
第19条
執行役員の報酬は、「給与規程」の定めるところによる。

~作成のポイント~
報酬の決定について、どのように取り扱うのか定めます。
給与規程内に決定ロジックや権限が記載されているのであれば、給与規程に従う形で良いでしょう。
個別に定める場合は、「代表取締役の決定による」という形に変えます。
賞与も同様です。



(賞与)
第20条
執行役員の賞与は、「給与規程」の定めるところによる。

~作成のポイント~
賞与を報酬体系として定めている場合は、触れておくと良いでしょう。



(休職給)
第21条
執行役員が長期に欠務すると見込まれたときは休職とし、他の執行役員を選任し、又は臨時に他の執行役員に担当職務を行わせるものとする。この場合の休職中の報酬については、その都度取締役会に諮り代表取締役が決定する。

2.前項の場合、代表取締役は取締役会に諮って執行役員の任務を解任し、執行役員以外の身分とすることができる。

(支給日・支払方法)
第22条
執行役員の報酬・賞与の支給日は、原則として従業員と同様とする。

第6章 その他


(本規程の主管部署)
第23条 本規程の主管部署は別に定める「規程管理規程」に従う。

(規程の改廃)
第24条 本規程の改訂及び廃止は、取締役会の決議による。

附則

本規程は、YYYY年MM月DD日より実施する。

以上

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