2022.11.13

【規程テンプレート】インサイダー取引防止規程

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ここではインサイダー取引防止規程のテンプレートを提示します。
上場にあたってマストな規程となりますので、タイミングを見て確実に制定しましょう。

インサイダー取引防止規程


第1章 総則


(目的)
第1条
本規程は、当社ならびに当社の子会社(以下、当社とあわせて「当社等」という。)の役員および従業員(以下あわせて「役員等」という。)が職務上知った当社の重要事実、役員等が契約の締結もしくはその交渉または履行に関し知った契約先または締結交渉先(非上場会社を除く。以下「取引先等」という。)の重要事実の管理に関する事項、ならびに役員等による株券等の売買等に関し役員等が一般的に遵守すべき事項を定めることにより、内部者取引(インサイダー取引)を未然に防止することを目的とする。

(法令等の遵守)
第2条
役員等は、「金融商品取引法」、「金融商品取引法施行令」及び「有価証券の取引等の規制に関する内閣府令」(以下「金融商品取引法等」という。)、および本規程の定めを遵守し、重要事実の適切な管理と内部者取引の未然防止に努めなければならない。

(役員等の定義)
第3条
本規程において、役員等とは、次の役員および従業員をいう。

  • 役員とは、当社等の取締役および監査役をいう。
  • 従業員とは、当社等の相談役、顧問および社員(各社の就業規則に定める社員、および各社のアルバイト就業規則に定めるアルバイトをいい、派遣出向者、受入出向者、契約社員、嘱託社員を含む。)をいう。


2.役員等でなくなった者であっても、退任または退職後1年を経過しない場合には、これを役員等とみなして本規程第12条、第14条、第17条、第19条および第20条の規定を適用する。

(重要事実の定義)
第4条
本規程において、重要事実とは、当社等または取引先等に関する金融商品取引法等に掲げる業務等に関する重要事実をいい、当社又は取引先等の子会社(有価証券届出書、有価証券報告書、四半期報告書等で公衆の縦覧に供された直近のものにおいて、企業集団に属する会社として記載された会社をいう。以下本規程および別表において同じ。)に生じた情報が当社または取引先等にとって重要情報となる場合を含むものとする。

(株券等の定義)
第5条
本規程の対象となる「株券等」とは、株券、社債券、新株予約権付社債券、優先出資証券、新株予約権証券(外国法人が発行し、これらの性質を有する証券・証書および預託証券を含む)、これらに係るオプションを表示する証券・証書(カバードワラント)、これらに係る権利を表示する預託証券等の「特定有価証券等」(金融商品取引法第163条)をいう。

2.「商法等の一部を改正する法律」(平成13年法律第128号)施行前に発行された転換社債券、新株引受権付社債、新株引受権証券も、前項の「株券等」に含まれるものとする。

(売買等の定義)
第6条
本規程の対象となる売買等とは、売買その他の有償の譲渡または譲受、有価証券指数等先物取引、有価証券オプション取引、外国市場証券先物取引、クレジットデリバティブ取引もしくは有価証券店頭デリバティブ取引をいう。

2.前項の売買等については、家族、知人、その他名義の如何を問わず、役員等が自己の計算で行うものは、役員等が自己のために行うものとしてみなして本規程を適用する。

(重要事実の公表の定義)
第7条
本規程において重要事実が公表されたとは、次に掲げるいずれかのことをいう。

  • 重要事実が金融商品取引法施行令第30条に掲げられた二社以上の報道機関に公開され、その後12時間を経過したとき。
  • 金融商品取引法第25条の規定により、重要事実が記載された有価証券届出書、有価証券報告書、四半期報告書、臨時報告書等のいずれかが、公衆の縦覧に供されたとき。
  • 金融商品取引所の規則の定めるところにより、重要事実が当該金融商品取引所に通知され、電磁的方法によって公衆の縦覧に供されたとき。


第2章 重要事実の管理


(情報管理責任者の設置)
第8条
重要事実の管理および内部者取引の未然防止のため、次のとおり情報管理責任者および情報管理担当者を設置する。

(1)情報管理責任者

重要事実の管理を全社的に統括する者であり、経営企画部門責任者がこれに当たる。

(2)情報管理担当者

各部門において、重要事実を管理する者であり、各部門長がこれにあたる。また、当社の子会社に生じた情報を当社において管理するため、子会社については子会社の代表取締役または当社が別途指定する者を情報管理担当者とする。

(情報管理責任者の職務)
第9条
情報管理責任者は、常に代表取締役の指示を仰ぎつつ、情報管理担当者を指揮し、次の業務に従事する。

  • 重要事実の統括的管理。
  • 当社の重要事実該当、非該当性の判定。
  • 重要事実公表の要否、時期、方法および公表担当者の決定。
  • 情報管理担当者および役員等に対する研修の実施、指導および助言。
  • 役員等から届出があった株式等の売買等についての許否の決定。
  • 公表等により重要事実に該当しなくなった情報について関係する役員等への連絡。
  • 他の役員等に対する適時、適切な報告。


(情報管理担当者の職務)
第10条
情報管理担当者は、情報管理責任者の指揮を受け、情報管理責任者および他の情報管理担当者と協力し、次の業務に従事する。

  • 担当部門における重要事実の管理。
  • 担当部門において発生した事実についての情報管理責任者への報告。
  • 担当部門の役員等に対する研修の実施、指導および助言。
  • 情報管理責任者からの指示、連絡事項等の担当部門の役員等への伝達。


(重要事実の報告等)
第11条
役員等は、未公表の重要事実または重要事実に該当する可能性のある情報を知ったときは、当該役員等が所属する情報管理担当者および情報管理責任者に報告する。

2.情報管理責任者は、前項の情報が重要事実に該当するか否かおよび今後の管理の留意点等を決定のうえ、当該役員等および情報管理担当者に対して、当該情報の管理に関し必要な指示を行うものとする。

3.前項の情報が公表等により重要事実としての管理が不要となった場合には、情報管理責任者は速やかに当該役員等または情報管理担当者にその旨連絡するものとする。

(重要事実の漏洩の禁止)
第12条
役員等は、職務に関し或いは職務に関せず知った当社等および取引先等の未公表の重要事実または重要事実に該当する可能性のある情報を他に漏洩してはならない。ただし、当該役員等の所属する情報管理担当者および情報管理責任者に伝える場合等、職務上必要な場合はこの限りでない。

(重要事実の公表)
第13条
当社等の重要事実は、金融商品取引法等、金融商品取引所の定める適時開示規則および本規程の定めを遵守し、できるかぎり早期に公表するものとし、その要否、時期、方法、担当者については、情報管理責任者が代表取締役と協議の上決定するものとする。

第3章 重要事実に基づく株券等の売買等の禁止


(株券等の売買等の禁止)
第14条
役員等は、当社等の重要事実を知った場合は、法令または本規程で認められている場合を除いて、当該重要事実が公表されるまで、当社の株券等の売買等を行ってはならない。

2.役員等は、取引先等の重要事実を知った場合は、法令または本規程で認められている場合を除いて、当該重要事実が公表されるまで、当該取引先等の株券等の売買等を行ってはならない。

(役員等の売買等の届出)
第15条
役員等が、当社の株券等の売買等をする場合には、●営業日前までに別途定める「株券等売買届出書」を情報管理責任者に提出し承認を受けなければならない。

2.前項の届出があった場合、情報管理責任者は、当社等の重要事実の有無等を確認し、重要事実が生じていると判断したときは、当該重要事実が公表されるまでの間、当該売買等の中止を求めるものとする。

3.前項で中止を求められた役員等は、これに従うとともに、中止を求められた事実を他の役員等その他の第三者に漏らしてはならない。

4.役員等は、自社株式の売買を行ったときは、直ちに別途定める「株式売買報告書」により情報管理責任者に報告しなければならない。

(売買期間の設定)
第16条
自社株の売買は、原則として以下の期間のみ行うことができるものとする。

  • 役員等は決算発表(四半期末、半期末を含む)の翌々日から●日以内とする。
  • 従業員は決算発表(四半期末、半期末を含む)の翌々日から当該四半期末までとする。
  • 前各号に関わらず、役員等は取締役会の承認を得た場合に限り、売買を行うことができる。


(適用除外)
第17条
以下の場合には第14条、第15条および第16条の規定は適用されない。

  • 当社の従業員持株会を通じた継続的な取引(一回当たり100万円未満)。
  • ストックオプションを有する者が当該ストックオプションを行使することにより株券を取得する行為。ただし、行使により取得した株券を売り付ける行為は適用除外とならない。
  • その他法令により特に認められている取引。


2.役員等が、前項により株券等の売買等が認められる場合か否か自ら判断できない場合は、前条の規定に従って情報管理責任者に届け出て、その指示に従うものとする。

第4章 公開買付け情報に基づく株券売買等の禁止


(公開買付け情報等に関する定義)
第18条
公開買付け情報とは、当社等または他社が、上場会社の株券等に対する公開買付け(金融商品取引法第27条の2第1項および金融商品取引法第27条の22の2第1項)の実施または公開買付けに準ずる行為(金融商品取引法施行令第31条)の実施ならびに公開買付けおよび公開買付けに準ずる行為の実施の中止を決定したことをいう。

2.公開買付け情報の公表とは、次のいずれかに該当した場合をいう。

  • 公開買付届出書または公開買付撤回届出書が公衆の縦覧に供されたこと。
  • 二社以上の報道機関に公開買付け情報が公開された後、12時間が経過したこと。
  • 自己株式を買い付けるために公開買付けを行う場合において、公開買付け情報を金融商品取引所に通知し、電磁的方法によって公衆の縦覧に供されたこと。


(公開買付け情報の伝達の禁止)
第19条
役員等が、職務に関しあるいは職務に関せず、当社等および取引先等の未公表の公開買付け情報を知ったときは、これを他に漏らしてはならない。ただし、当該役員等の所属する情報管理担当者および情報管理責任者に伝える場合等、職務上必要な場合はこの限りでない。

(未公表の公開買付け情報に基づく株券等の売買等の禁止)
第20条
役員等は、未公表の公開買付け情報を知ったときは、当該情報が公表されるまでは、公開買付け情報に係る対象会社の株券等の売買等を行ってはならない。

第5章 役員による当社の株券等の売買等


(短期売買の禁止)
第21条
当社の役員は自己の計算において、当社の株券等の買付けを行った後6ヶ月以内に売付けを行い、または売付けを行った後6ヶ月以内に買付けを行ってはならない。

(空売りの禁止)
第22条
当社の役員は、自己が保有する当社の株券等の額を超えて株券等の売付けを行ってはならない。

(役員であることの申告)
第23条
当社の役員は、当社の株券等の売買等を金融商品取引業者に委託して行う場合は、当該金融商品取引業者に自身が当社の役員である旨を申告しなければならない。

(売買等の報告)
第24条
当社の役員は、自己の計算において、当社の株券等の売買等を行った場合、その内容を速やかに情報管理責任者に通知するとともに、金融商品取引法第163条の定めるところにより、当該売買等に関する報告書を売買等のあった月の翌月15日までに内閣総理大臣に提出しなければならない。

2.前項の売買等が金融商品取引業者に対する委託によって行われた場合には、前項の報告書は当該金融商品取引業者を経由して提出するものとする。

(異動の報告)
第25条
役員は当社の株券等の異動があった場合には、速やかに情報管理責任者へ別途定める「当社株券等異動報告書」を提出しなければならない。

第6章 その他


(処分)
第26条
役員等が、関係法令、本規程またはこれに関する通達等に違反した場合には、従業員については、就業規則中の懲戒に関する規定に従い、役員については、別途の方法によりその処分を行うものとする。

(規程の改廃)
第27条
本規程の改廃は経営企画部門が起案し、取締役会の決議を経るものとする。

2.前項の改廃がなされた場合は、情報管理責任者または経営企画部門より、その内容を社内に周知徹底する。

(附則)

本規程のうち、当社の株券等に関する規定は、当社株券が金融商品取引所へ上場される日より、その効力を有するものとする。

以上

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