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2022.08.22
コーポレートガバナンス強化のために今すべきこと
コーポレートガバナンス強化の方策
コーポレートガバナンス強化を求められる時代になってきており、強化する方法として、次の方策が挙げられます。
なお、経済産業省から『コーポレート・ガバナンス・システムに関する実務指針』というものも発行されており、こちらも参考にしていただけます。
内部統制の強化
内部統制はコーポレートガバナンスを支える重要なものです。
業務プロセスが不透明であったり、特定の人員や組織に依存した意思決定をしているなど、内部統制が機能していない状態だと、ミスだけでなく不正を引き起こす一因になってしまいます。
業務を円滑に進めつつ、ミスや不正を防止をするためのバランスのよい内部統制を整備・運用することがコーポレートガバナンス強化の土台となります。
社外取締役・監査役の設置
コーポレートガバナンスを強化するためには、代表取締役を含む経営陣を監督し、客観的な視点で意見を言える人が必要です。このとき、社外取締役・監査役は、客観的な視点で経営陣に意見できる役割として機能します。
客観的な視点を取り入れることで、一部の経営陣による不正を防いだり、会社の透明性を担保することにも繋がります。
社内周知
企業活動の中心になるのは、会社に属する人材です。
ガバナンスの強化には、経営陣だけでなく、従業員の理解が不可欠です。
会社がいかなる方向性で、どのような取り組みを行っているのかを理解してもらうために定期的に周知することが必要となります。コーポレートガバナンスの意義を繰り返し伝えることで、従業員の意識を改革し、整備された体制やプロセスを遵守しようという意識を生み出します。
取締役会の運営最適化
取締役会の運営は、従来からアナログな運営がされていたまま変わっていません。取締役会もテクノロジーの力でデジタル化し、透明性を高めていかなければいけません。形式的な取締役会ではなく、実効性を備えたものが求められているのです。
議事に対しても、どの議案に誰が賛成なのか?反対なのか?を入れたのかわかるようにしたり、担当者が出席役員の印鑑を事務局担当者がまとめて押印することのないように電子署名を導入する必要があるでしょう。
事務局担当者の育成も課題として上がることが多いので、育成とともに事務局の運営負荷を下げられるような適切なツール選定も重要となってきます。
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成功事例
実際にコーポレートガバナンス強化に成功している企業とその取り組みを紹介します。
キリン
キリンは、グループ長期経営構想「キリングループ・ビジョン2027(KV2027)」を策定し、2027年に目指す姿を達成するためのガバナンス体制の強化を掲げています。
KV2027をはじめ、経営理念や"One KIRIN" Valuesなど、キリンの大事にする価値観を関係するステークホルダーに伝えることで共通認識の基盤を整備しています。これにより、ステークホルダーとの協働を可能にしています。
また、その他にも独自のコーポレートガバナンスポリシーの策定や役員構成のうち過半数を占める社外取締役比率など継続的にコーポレートガバナンス強化を行っているのが特徴的です。
キリンは「コーポレートガバナンス・オブ・ザ・イヤー2020」で大賞に選ばれています。
>コーポレート・ガバナンス │ キリン
花王
花王は、企業の持続的な成長のために、攻めと守りのバランスの取れたコーポレート・ガバナンスを実践できている成功事例です。財務的な戦略・取り組みだけではなく、非財務的な戦略・取り組みも強化し、会社の成長のために必要な投資ができる体制ができています。
特徴的なのは、花王が、2030年までに達成したい姿として企業のビジョンを「花王ウェイ」として策定し、コーポレート・ガバナンスにおいても「花王ウェイ」の基本となる価値観「絶えざる革新」に基づいて体制構築をしています。
キリンと同様に、企業の基盤となる価値観や行動原則を共有することで、経営陣だけでなく株主をはじめとした様々なステークホルダーと共通認識を持った対話を可能としています。
花王も「コーポレートガバナンス・オブ・ザ・イヤー2018」で大賞に選ばれています。
>コーポレート・ガバナンス │ 花王
ライター:ミチビク株式会社 代表取締役CEO 中村竜典
愛知県出身。高校卒業後にトヨタ系企業に入社しライン作業に従事。退職し、1年半の勉強期間を経て公認会計士試験に合格。2013年にPwCあらた有限責任監査法人に入所し、東証一部上場企業を中心にインチャージとして財務諸表監査、内部統制監査業務等に携わる。その後OKANに入社、コーポレート責任者を経て、2018年に独立。2021年4月にミチビクを創業。