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2022.08.20
コーポレートガバナンス(企業統治)とは?
目次
「コーポレートガバナンス」や「企業統治」という言葉を見かけることも多くなりましたが、内容についてはよくわからないという人も多いのではないでしょうか。
この記事では、コーポレートガバナンス(企業統治)について、わかりやすく解説したいと思います。
コーポレートガバナンスとは?
コーポレートガバナンスとは、日本語にすると「企業統治」と訳されます。
企業統治という言葉だと範囲が広いですが、東京証券取引所が制定しているコーポレートガバナンス・コードによると「コーポレートガバナンス」とは、会社が、株主をはじめ顧客・従業員・地域社会等の立場を踏まえた上で、透明・公正かつ迅速・果断な意思決定を行うための仕組みを意味する。とされています。これでもまだ難しいですね。
言い換えると、企業統治とは「会社における組織ぐるみの不祥事防止と企業価値向上のための適切な意思決定がなされることを目的とした経営を監視する仕組み」のことです。
経営を監視する仕組みということで、社外取締役や社外監査役など社外から役員を登用し、その実効性を高めることが求められます。
オリンパス事件や東芝事件など、度々起こる不正会計事件により、コーポレートガバナンスの重要性は年々高まっています。
コーポレートガバナンスの目的
①会社における組織ぐるみの不祥事防止
- 経営層の相互監視による不正の機会の抑制
- ステークホルダーに適切な情報開示することでの透明性確保
- ステークホルダーへの説明責任を果たすこと
② 企業価値向上のための適切な意思決定
- 経営者の利己的な判断等を防止
- 企業価値向上のための決定
※ステークホルダーとは、利害関係者のことです。企業における主なステークホルダーには、株主・経営者・従業員・顧客・取引先・金融機関などがあります。
コーポレートガバナンスの必要性.コーポレートガバナンスの目的
コーポレートガバナンスが必要とされるのは、企業のステークホルダーの利益を守るためです。
株式会社を例に取り上げると、株主・経営者・従業員・顧客・取引先・金融機関など多くのステークホルダーが存在しており、これらのステークホルダーは必ずしも利害が一致するわけではありません。
株主利益偏重になれば、原価低減のために粗悪品を取り扱って顧客離れを起こしたり、過剰な人件費カットによる労働環境の悪化など、顧客や従業員にとって様々な問題が生じる可能性があります。
また、経営陣が利益を独占しようとしたり不正を隠匿しようとすれば、企業の情報を偽装し、嘘の情報を株主等に伝えることもできてしまいます。こうした「情報の非対称性」が粉飾事件を起こしている事例もあります。
こうした暴走を起こすことのないよう、経営陣が相互に監視し、不祥事防止と企業価値の向上に努める必要があります。コーポレートガバナンスがしっかりと機能させ、ステークホルダーが不利益を被ることのないようにしていくことが求められているのです。
コーポレートガバナンスのジレンマ
コーポレートガバナンスのジレンマとして、コーポレートガバナンスの監視の側面を強くするあまりに、迅速な意思決定や業務遂行ができなくなることが挙げられます。
また、日本でのコーポレートガバナンスの傾向として、株主利益を追求しようとする傾向が強く、株主からのプレッシャーで短期的な利益ばかりを求めて、長期的な利益を得にくくなるという傾向もあります。
こうしたジレンマを乗り越えて、コーポレートガバナンスを強化をしていくことに成功している例も出てきています。成功している企業は、社外役員の登用を積極的に行い、取締役会の運営を透明性高く効果的に行っているという共通点があります。
従来からアナログな運営がなされていた取締役会もテクノロジーの力でデジタル化し、透明性を高めていかなければいけません。
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コーポレートガバナンスと内部統制、コンプライアンスの違い
内部統制とは、企業が事業目的や経営目標を効率的かつ適正に達成するために、その企業の内部において適用されるルールや業務プロセスを整備し運用することです。この内部統制としての仕組み化がコーポレート・ガバナンスの要と言われることもあり、近年ではその構築と運用が重要視されています。
内部統制は、前述のように企業におけるルールや業務プロセスを明確化したものであり、コーポレートガバナンスを支えるものです。また、会社法や金融商品取引法で上場会社や委員会設置会社には内部統制の整備が義務化されていますが、コーポレートガバナンスは間接的な法令はあっても明示的には定められていないという点の違いもあります。
コンプライアンスとは、直訳すると「法令遵守」ですが、近年よく耳にするコンプライアンスは、法令遵守に加え、社会的規範や企業倫理、モラルなど幅広い範囲を守る意味で使われています。
コンプライアンスは「法令等を遵守すること」自体を指すものですが、コーポレートガバナンスはコンプライアンスの遵守を含む、もう少し広い概念だと考えられます。
ライター:ミチビク株式会社 代表取締役CEO 中村竜典
愛知県出身。高校卒業後にトヨタ系企業に入社しライン作業に従事。退職し、1年半の勉強期間を経て公認会計士試験に合格。2013年にPwCあらた有限責任監査法人に入所し、東証一部上場企業を中心にインチャージとして財務諸表監査、内部統制監査業務等に携わる。その後OKANに入社、コーポレート責任者を経て、2018年に独立。2021年4月にミチビクを創業。