2022.11.20

【規程テンプレート】稟議規程

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ここでは「稟議規程」を作成する上でのテンプレートの提示と、作成のポイントについて解説します。
稟議はその取扱いによっては、意思決定の迅速化にも、業務の妨げにもなる場合もあります。
規程の作成は入り口であり、その運用に肝があると認識し、規程の整備を行っていきましょう。

稟議規程


第1章 総則


(目的)
第1条
本規程は当社における稟議決裁事項の基準及び稟議の手続きを定め、もって業務の円滑な処理を図ることを目的とする。

(定義)
第2条
本規程で稟議とは、業務の執行に当たり自己の権限を超える事項および経営上重要な事項につき、これを実施について申請者が別に定める「決裁権限規程」の決裁者によって決裁を受けることをいう。

(稟議事項)
第3条
稟議を要する事項は、別に定める「決裁権限規程」にこれを定める。ただし「決裁権限規程」に定められていない事項および金額が僅少の場合であっても、申請しようとする案件が経営上重要な事項であると管掌役員、または所管部門責任者が判断した場合は、稟議手続きにより決裁を仰ぐものとする。

~作成のポイント~
目的と定義、そして稟議事項は基本的な所になります。
稟議規程を策定するフェーズにある会社では、一般的に「組織規程」「業務分掌規程」「決裁権限規程」のようなものが定められている、もしくは「稟議規程」と併せて定めようとしているはずです。
基本的には、これらの規程と連動していくものになりますので、その関係性を明示するようにしましょう。



(原則)
第4条
稟議事項は原則として決裁前に実施してはならない。緊急やむを得ない場合は略式の文書(メール等の電磁的記録含む)または口頭により、事前に承認を得なければならない。ただし、この場合、事後においても稟議手続により承認を得なければならない。

2.稟議の申請にあたっては原案の段階で関連部署と意見調整し、必要な部署の援助を受けて、経営の効率的な運営に努めなければならない。

3.稟議の内容が同一案件の場合は分割することなく稟議する。

4.稟議には稟議内容を決裁するために必要となる資料は、必ず添付するものとする。

5.稟議は他の文書に対し常に優先して取扱い、遅滞なく決裁処理しなければならない。

~作成のポイント~
大体の会社において、「これを今すぐにやらなければならない!」というような事が、まま発生するものです。
その際に、一々、稟議を経ていてはスピード感が不足します。
そのため、原則として事前稟議なんですよ、としつつ口頭やテキストでの代替手段について触れておくようにしましょう。
また、同じ案件の話で発注先が複数に渡るが故に1件毎の申請金額が小さくなり、案件ベースで考えればより上位の決裁を得なければいけないような稟議が、下位の決裁者で通ってしまう場合があります。
これをけん制する上でも、同じ案件については、まとめて稟議するように、記載しましょう。


第2章 稟議管理業務


(稟議管理者)
第5条
当規程および稟議管理業務責任者は、総務部門責任者とする。

2.稟議管理業務責任者は、稟議管理業務担当者を選任することができる。

(稟議管理システム)
第6条
稟議事項は原則として所定の稟議管理システムを使用し決裁を受けるものとするが、稟議書に代わる所定の申請書をもってこれに代えることもできる。

2.稟議管理システムの管理は、稟議管理者である稟議管理業務責任者または稟議管理業務担当者が行う。

(記載事項)
第7条
稟議管理者は、稟議事項に応じて適切な申請が行われるよう、あらかじめ稟議管理システム上で記載事項の設定を行うものとする。

(回付先)
第8条
稟議管理者は、別に定める「決裁権限規程」に従って、適切な審議者、承認者ならびに報告先に回付できるよう、あらかじめ稟議管理システム上で記載事項の設定を行うものとする。

(複数部署にわたる稟議事項)
第9条
稟議事項が他の部署にわたるときは稟議管理者が適宜判断の上、双方の担当者に回覧もしくは承認が行われるよう、稟議フローの設定を行う。

~作成のポイント~
近年の稟議は、紙ベースでは無く、システムベースになっているのが一般的です。
当該稟議管理システムを管理する責任部署について、明確に定めるようにしましょう。
なお、稟議システムにも残したくなく、紙ベースで極秘に進めたい案件(M&Aとか)が発生する場合もありますので、そのための逃げ道として代替手段を認めることも記載しておきましょう。


第3章 決裁


(決裁)
第10条
稟議の決裁は、原則、別紙「決裁権限規程(一覧)」に定める決裁者が行うものとする。

(決裁の種類)
第11条
決裁の種類は次の通りとする。
(1)原案可決  原案の通り実施を許可すること
(2)条件付可決 一定の条件のもとに実施を許可すること
(3)否決    実施を禁止すること

~作成のポイント~
稟議管理システムで設定できるもので、自社が使用するものを記載します。



(付議)
第12条
所定の各会議に付議し、審議する稟議事項を別に定めることができる。

2.代表取締役および管掌役員の専決事項であっても、代表取締役および管掌役員が必要と認めたときは各会議に付議し、審議するものとする。

~作成のポイント~
「これ、稟議で終わらせる内容じゃ無いよね。。。」という案件が発生することは珍しくありません。
そのためにも、重要事案については、明確に別会議体にて議論ができるようにはしておいた方が良いでしょう。
なお、この場合、稟議制度自体が形骸化しないようなバランス感覚は必要になります。



(修正稟議)
第13条
承認された稟議事項につき内容又は計画に、重要な修正を加える場合は、その都度速やかに修正稟議をしなければならない。

2.稟議書の修正は、起案部門の承諾なくして行ってはならない。

~作成のポイント~
稟議内容が修正される事も珍しくありません。
稟議管理者は、どこからどこまでの変更は修正稟議不要で、これ以上は修正稟議を、という基準を内側で持っておくと良いでしょう。
規程にまで落とし込むと、運用が大変になるので、一定の柔軟性は持たせつつ、適切な運用体制を構築しておくのが良いです。


第4章 実施


(実施)
第14条
申請者は、稟議事項の承認を受けた場合は、承認内容に基づき速やかに実施するものとする。

2.決定された稟議は3か月を経ても着手されない場合、その決裁は無効とする。ただし実施に対しあらかじめ一定の期間を付して決裁されたものは、その示された時期を終わったとき無効とする。

(取消しおよび中止)
第15条
稟議が決裁された後、実施を取りやめる場合には、申請者は稟議管理システム上、その旨のコメントを付さなければならない。

(実施結果の報告)
第16条
申請者は稟議を行った事項のうち、結果報告を要する事項については、遅滞なくその結果を決裁者に報告しなければならない。

~作成のポイント~
稟議を出したけれども結局辞めた、やりっぱなしで振り返り無し、という光景は珍しくありません。
この点に関するけん制も行うような記載にしましょう。
とは言え、この点まで稟議管理者がトラッキングすると業務が大変になるので、この点の責任に関しては明示しない方が運用上は良いです。
関係部署と連携し、重要事案に絞って、「この件、結局どうなったの?」と追いかけられると良いですね。


第5章 その他


(稟議書の保存期間)
第17条
稟議書の保存期間は永久とする。

(改廃)
第18条
本規程の改廃は、取締役会の決議による。

附則
本規程は、YYYY年MM月DD日より実施する。

~作成のポイント~
稟議書の保存期間は、永久と定めている会社が多いような印象です。
法定の保存年限は特に定められていないですが、諸々の訴訟リスク等に備える形ですね。
データ保存の場合、保存コストも高く無いので、決めの世界の中で判断すれば良いでしょう。
規程の改廃については、別に「規程管理規程」があるならば、そちらの定めに従い記載すれば良いでしょう。



以上

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