2022.11.19
【規程テンプレート】適時開示規程
ここでは適時開示規程のテンプレートを提示します。
実際に上場が目前となったフェーズにおいては、適時開示を行える前提の体制が整っていることが必要です。
適時開示規程
第1章 総則
(目的)
第1条
本規程は、当社の会社情報の法定開示・適時開示に係る開示体制に関して定めることにより、金融商品取引に関連する法令及び金融商品取引所の諸規則を遵守し、当社の株主、投資家、及びその他の利害関係者のすべてに対して適時・適切な会社情報を提供し、当社に対する理解を深めること、社会的信頼を向上させること、及び適正な評価に資することを目的とする。
(開示の対象となる会社情報)
第2条
開示の対象となる会社情報(以下、「会社情報」という)は、以下の各情報をいう。
(1)法定開示情報:法令(金融商品取引に関連する法令等)で開示が求められている情報
- 決算情報:有価証券報告書(四半期含む)、企業内容等に関する開示書類の情報
- その他の情報:臨時報告書、有価証券届出書等、その他の開示書類の情報
(2)適時開示情報:金融商品取引所の諸規則で開示が求められている情報
- 決算情報:決算短信(四半期含む)等、決算に関する開示情報
- 業績予想、配当予想の修正等の情報:業績予想の修正、配当予想の修正、差異説明
- 決定事実に関する情報:決算情報以外の重要事実が、取締役会で決定された場合の当該情報
- 発生事実に関する情報:災害に起因する損害の発生や主要株主の異動など、開示すべき事実が発生した場合の 当該情報
- その他の情報:上記①から④以外のその他の情報(支配株主等に関する事項等)
(3)その他の開示情報
上記(1)(2)以外の情報で、株主、投資家、及びその他の利害関係者に対して開示することが望ましい情報
(適時開示責任者)
第3条
適時開示責任者は、法定開示・適時開示に関する管理責任者として開示方針・開示体制・開示の実施を統括する者で、経営企画部門管掌取締役とする。なお、適時開示責任者が不在の時は、代表取締役がその任務を担うこととする。
~作成のポイント~
自社の開示管掌部門を指定します。
なお、具体の部門名称では無く、役割としての部門名称をしていすると組織変更等があった場合のメンテナンスが簡便化されます。
(適時開示担当者)
第4条
適時開示担当者は、開示情報の把握・集約、開示資料原案の作成、開示(公表措置)を実施する担当者とし、原則として経営企画部門管掌取締役が指定した者とする。
~作成のポイント~
実務上の担当責任者を指定します。
ここで、具体の担当ポジションを指定すると、組織階層や役職が異なる担当者変更があった際に面倒なので、管掌取締役が指定した者、とするとメンテナンスが簡便化されます。
(ウェブ掲載担当者)
第5条
ウェブ掲載担当者は、会社情報の当社ウェブサイト等への掲載を実施する担当者とする。
第2章 開示体制
(開示体制)
第6条
当社の会社情報の開示体制は、以下の通りとする。
(1)決算情報
- 経営企画部門:各部署から決算に関連する資料受領
- 経営企画部門:開示資料案(決算短信、四半期決算短信)作成
- 監査人、監査法人:開示資料案のチェック
- 代表取締役、適時開示責任者:経営企画部門から代表取締役、適時開示責任者に開示資料案の説明
- 取締役会:決算情報の報告を受け、開示資料の審議・承認
- 代表取締役、適時開示責任者:開示資料の最終確認
- 適時開示責任者:情報開示
(2)決定事実
- 適時開示責任者:取締役会の付議事項の取り纏め
- 経営企画部門:開示資料案作成
- 代表取締役、適時開示責任者:経営企画部門から代表取締役、適時開示責任者に開示資料案の説明
- 取締役会:議案の審議・承認
- 取締役会:開示資料の審議・承認
- 代表取締役、適時開示責任者:開示資料の最終確認
- 適時開示責任者:情報開示
(3)発生事実
- 経営企画部門:各部署から発生した事実に関する情報の受領
- 経営企画部門:情報収集、情報開示の必要性の検討
- 経営企画部門:開示資料案作成
- 代表取締役、適時開示責任者:経営企画部門から代表取締役、適時開示責任者に開示資料案の説明
- 取締役会:発生事実の報告
- 取締役会:開示資料の審議・承認(緊急に開示すべき事実が発生した場合には、代表取締役の承認を得て速やかに開示し、取締役会には開示資料を回付)
- 代表取締役、適時開示責任者:開示資料の最終確認
- 適時開示責任者:情報開示
~作成のポイント~
自社における組織・役割・決裁権限に応じて開示体制のフローを記載します。
発生事実に関しては、急な開示を要する場合もあるので、取締役会を省略できるようなフローも盛り込んでおくと良いでしょう。
(決算情報の開示)
第7条
決算情報の開示手続きは次の通りとする。なお、開示の要否、開示資料の作成については、適宜、金融商品取引所等に事前相談を行うほか、弁護士・監査法人等のアドバイスを受けることとする。
- 適時開示担当者は、各部署から開示の対象となる会社情報を把握・集約し、開示資料原案を作成する。また、同じ時期に監査法人による会計監査もしくはチェックを受けて、開示資料原案を取りまとめる。
- 代表取締役及び適時開示責任者は、開示資料原案の内容確認を行うほか、業績予想の修正等の開示の要否を検討する。
- 取締役会は、決算情報の報告を受け、開示資料の審議・承認を行う。
- 代表取締役及び適時開示責任者は、開示資料の最終確認を行う。
- 開示決定後、適時開示責任者の指示により、適時開示担当者は、速やかに開示資料の開示(公表措置)を行う。
(決定事実の開示)
第8条
決定事実の会社情報の開示手続きは次の通りとする。なお、開示の要否、開示資料の作成については、適宜金融商品取引所等に事前相談を行うほか、弁護士・監査法人等のアドバイスを受けることとする。
- 適時開示責任者は、取締役会の運営窓口である経営企画部門から、付議事項や補足資料を入手し、当該情報をもとに開示有無の確認、適時開示担当者に開示資料原案の作成指示を行う。
- 代表取締役及び適時開示責任者は、開示資料原案の内容確認を行う。
- 取締役会において、決議事項の承認とともに、開示内容の確認を行う。
- 代表取締役及び適時開示責任者は、開示資料の最終確認を行う。
- 承認後、適時開示責任者の指示により、適時開示担当者は、速やかに開示資料の開示(公表措置)を行う。
(発生事実の開示)
第9条
発生事実の会社情報の開示手続きは次の通りとする。なお、開示の要否、開示資料の作成については、適宜、金融商品取引所等に事前相談を行うほか、弁護士・監査法人等のアドバイスを受けることとする。
- 当社において、重要な事実が発生した場合には、関連部署の責任者が事実確認後に、適時開示担当者へ報告することにより、情報認識・収集を行う。
- 適時開示担当者は、開示有無を確認し、開示資料原案の作成を行う。
- 代表取締役及び適時開示責任者は、適時開示担当者より開示についての検討結果の報告を受ける。
- 取締役会において、発生事実等の報告及び開示事項の承認を行う。なお、緊急に開示すべき事実が発生した場合には、代表取締役の承認を得て速やかに開示し、取締役会には開示資料を回付することとする。
- 代表取締役及び適時開示責任者は、開示資料の最終確認を行う。
- 適時開示責任者の指示により、適時開示担当者は、速やかに開示資料の開示(公表措置)を行う。
(その他情報の開示)
第10条
その他の会社情報の開示手続きは前条に準じることとする。
(将来情報)
第11条
当社が開示する情報の中に、現在の計画・見通し・戦略等の将来情報が含まれている場合、これらは現在入手可能な情報に基づき、当社の判断による一定の前提の下に作成されており、リスクや不確定要素等の要因が含まれていること、これら会社の将来情報と実際の業績とは大きく乖離する可能性があることを明示する。
(第三者による予想等)
第12条
アナリストレポートや情報誌等の第三者による業績予想等の情報については、予想者の独自の考えや主観的な評価であり、当社が関知するものではないため、一切言及しない方針とする。但し、資本市場において重大な影響を与えていることが認められる、又は与える可能性があると当社が判断した場合においては、この限りではない。
(沈黙期間)
第13条
当社は、決算情報等の株価に影響を与える情報の漏洩を未然に防止するため、通期、四半期の決算期日翌日から決算発表日までを「沈黙期間」とする。沈黙期間中は決算に関する一切のコメントを差し控えることとする。但し、資本市場において重大な影響を与えていることが認められる、又は与える可能性があると当社が判断した場合においては、この限りではない。また、業績予想、配当予想の修正、差異説明に関しては、必要に応じて適時開示を行う。
(開示以外での情報提供)
第14条
当社は、未公表の会社情報について、公平性のため、原則、一部の第三者のみに情報提供を行わない。但し、以下の者からの要求があった場合はこの限りではない。
- 監督官庁
- 裁判所
- 法令に基づく情報請求者
- 契約している弁護士・公認会計士
- 秘密保持契約により守秘義務を負う者
2.前項の但書以外で開示する場合は、取締役会又は代表取締役の決定を要す。
(未公表情報の内部管理)
第15条
当社は、インサイダー情報の管理のため、別に定める「インサイダー取引防止規程」において重要事実の取扱い及び株式等の売買に関する手続を規定するとともに、社内に周知徹底することで、インサイダー取引の未然の防止に努める。
~作成のポイント~
本規程を制定するフェーズにある場合は、インサイダー取引防止規定の制定もセットで検討すると良いでしょう。
(フェア・ディスクロージャー・ルール)
第16条
当社は、フェア・ディスクロージャー・ルールを遵守するため、原則として取引関係者に重要情報を伝達しないこととし、取引関係者に当社の重要情報の伝達を行う場合には、その伝達と同時にその重要情報を開示しなければならない。なお、当社における重要情報は第2条に記載の「会社情報」のうち未公表のものとし、取引関係者及び情報提供者は、金融商品取引法第27条の36第1項並びに関連する法令・規則に定義されるものとする。
2.フェア・ディスクロージャー・ルールについての責任者は、第3条で定めている適時開示責任者と同一とする。また、担当部署は経営企画部門とし、経営企画部門責任者は1名以上を担当者として指名するものとする。
3.第一項に反し、企図せず重要情報を取引関係者に伝達してしまった場合、速やかに当該重要情報を開示する。ただし、重要情報には該当するものの、開示が適切でないと判断した場合は、当該情報を開示するまでの間に限って、当該取引関係者と守秘義務を締結の上、当社の有価証券に係る売買等を行わないことを義務付けるものとする。
4. 開示手続きについては、第10条に定められているその他の会社情報の手続きに準じることとする。
5. 取引関係者への対応(説明会、面会及び電話取材等形式を問わず)については、原則として適時開示責任者あるいは経営企画部門責任者が行うものとし、その他の情報提供者が対応する場合には、適時開示責任者が指名するものが同席することとする。
(開示資料のウェブサイト掲載)
第17条
当社は、情報漏洩等の不祥事発生を未然防止し、証券市場における当社の信頼を確保するため、適時開示情報のウェブサイトへの掲載は、外部業者の自動更新サービスを利用する。
~作成のポイント~
開示情報のウェブサイト掲載は、一般的には外部業者(宝印刷かプロネクサス)を利用します。
(遵守事項)
第18条
ウェブ掲載担当者は、適時開示情報のウェブサイトへの掲載は、外部業者の自動更新サービスを利用するため、当該情報の掲載については関与しない一方で、外部業者の自動更新サービスが有効に機能しているかどうかを開示の都度確認しなければならない。
(外部業者への掲載業務の委託)
第19条
会社情報をウェブサイト等に掲載することを外部業者に委託する際には、以下の各号を遵守しなければならない。
(1)外部業者に業務を委託する場合、適時開示担当者は適時開示責任者の承認を受け、委託先へ掲載予定資料を提出する。
(2)委託先は当社と当該委託先が予め指定した方法、システムを用いて業務を行うこととし、それ以外の方法により当社ウェブサイト上に開示資料を掲載してはならない。
(委託先の自動更新サービスによる掲載)
第20条
会社情報のウェブサイト等への掲載を外部業者の自動更新サービスによる場合は、当社がEDINET、TDnetを利用して開示資料の提出を行い、当該資料が開示された後、外部業者が専用回線を通してEDINET、TDnetデータを取得し、外部業者のデータベースに蓄積され、自動で当社ウェブサイト等に掲載する方式をとることとする。
第3章 その他
(改廃)
第21条
本規程の改廃は、取締役会の決議により行う。
附則
本規程は、YYYY年MM月DD日より実施する。
以上
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ライター:ミチビク編集部
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