2022.11.20
【規程テンプレート】内部通報規程
ここでは内部通報規程のテンプレートを提示します。
IPOを目指す上においては、内部通報制度制定の必要性が高いです。
実際に機能するのか否かとか、そのような話はあるのですが、マスト事項として対応するのが良いでしょう。
内部通報規程
第1章 総則
(目的)
第1条
本規程は、公益通報者保護法に基づき、当社の役職員からの法令等の違反行為に関する通報、申告または相談(以下「通報等」という。)があった場合の取扱いに関し、基本的な事項を定めることを目的とする。
(適用範囲)
第2条
本規程は、当社を対象として適用する。
(用語の定義)
第3条
本規程における主な用語の定義は、次の各号に掲げるとおりとする。
- 「役員」とは、当社の取締役、監査役をいう。
- 「社員」とは、当社の就業規程に定める社員、契約社員、嘱託社員および臨時社員ならびに当社または適用会社の社内規程に従い業務を遂行する請負社員、派遣役職員をいう。役員と社員を総称して役職員という。
- 「通報者」とは、役職員のうち、本規程に基づき通報等を行う者をいう。
- 「不正行為」とは、当社の業務において法令、別に定める「コンプライアンス規程」もしくは他の関連規程等に違反し、または違反しようとする行為をいう。
~作成のポイント~
定義内について、会社の実情にあわせてカスタマイズします。
(通報等)
第4条
役職員が、不正行為を知り、または疑義を抱いた場合、当該役職員は本規程の定めるところにより通報等をすることができる。
(通報者の保護)
第5条
当社は、通報者が通報等をしたことを理由として、当該通報者に対する解雇その他いかなる不利益な取扱いも行ってはならない。
2.当社は、通報者が通報等をしたことを理由として、通報者の職場環境が悪化することのないように、適切な措置をとらなければならない。
3.当社は、通報者に対して不利益な取扱いや嫌がらせ等を行った者(通報者の上司、同僚等を含む。)がいた場合には、就業規程等に従って処分を課すことができる。
~作成のポイント~
通報者の立場が守られない事はあるある話です。
そのような中、現代においてはSNS等において、その事実が一瞬にして拡散されてしまうことも指摘できます。
ルールを制定するだけでなく、適切に運用することが大事であり、また、そのような精神性や風土を会社自体(ようは経営者が)を持つ必要がありますね。
(個人情報の保護)
第6条
当社ならびに本規程に定める職務に携わる者は、通報等された内容およびその調査で知りえた個人情報を含むすべての情報を、職務上必要な場合を除き、開示してはならない。
(不正の目的)
第7条
通報者は、虚偽の通報、他人を誹謗中傷する通報その他不正の目的の通報等を行ってはならない。
第2章 通報等の処理
(内部通報責任者)
第8条
当社は、ヘルプラインの適切な運用を図るため、内部通報責任者を置く。
2.内部通報責任者は、コンプライアンス担当責任者がこれにあたる。
(内部通報責任者補佐)
第9条
当社は内部通報責任者を補佐するヘルプライン担当者を置くものとし、内部通報責任者の指名する者がこれにあたる。
(内部通報窓口の設置)
第10条
当社は、役職員からの通報等を受け付ける窓口を、当社内部および契約する外部機関(以下「グループヘルプライン」という。)に設置する。
2.内部通報の窓口は、下記のとおりとする。
① 社内ヘルプライン
住所:●●●●●●
連絡先専用電話番号:●●-●●●●-●●●●
連絡先メールアドレス:●●●@●●●●
ヘルプライン担当者氏名:●●●●
② 社外ヘルプライン(外部機関)
●●●法律事務所
住所:●●●●●●
連絡先専用電話番号:●●-●●●●-●●●●
連絡先メールアドレス:●●●@●●●●
弁護士氏名:●●●●
3.内部通報のフローは、下記のとおりとする。
① 通報者から社内ヘルプラインもしくは社外ヘルプラインへの通報
② ヘルプライン担当者から内部通報責任者への報告
③ 内部通報責任者から管掌取締役への報告、管掌取締役から内部通報責任者へ調査指示
④ 内部通報責任者から関係部門への調査指示、関係部門から内部通報責任者へ調査報告
⑤ 内部通報責任者から取締役会(監査役含む)への報告、取締役会から内部通報責任者へ指示
⑥ 内部通報責任者から関係部門へ是正・再発防止指示
⑦ 内部通報責任者から通報者へ通知
~作成のポイント~
内部通報制度を制定する場合、最初は社内ヘルプラインのみの設置からはじめて、社外ヘルプラインはおいおい設置していく形でも問題ありません。
(現実問題として、まともな会社ならば、そうそう通報行為自体が無いですし。顧問弁護士費用も追加でかかるのが普通ですし。)
なお、リスク・コンプライアンス委員会のようなものを設置している場合、取締役会への報告前に、当該委員会を挟むことが考えられます。
第2項、第3項は別紙に記載することも考えられます。
(通報等の方法)
第11条
ヘルプラインの利用方法は、第10条のとおりとする。
2.通報者は、通報等に際し、匿名を選択することができる。
3.通報者は、可能であれば、下記の項目に沿って通報する。ヘルプライン担当者(社外ヘルプライン含む)は、可能な限り、下記の項目に沿ってヒアリングを行う。
- 氏名
- 連絡先,連絡方法
- 通報対象者(部署)
- 通報の内容(いつ,どこで,何が)
- 特記事項
- 証拠書類等の有無
- 結果の通知の希望有無
(通報の受付)
第12条
内部通報担当者および外部機関は、通報を受けた場合、その対象となった法令違反行為その他の不正行為の内容を、直ちに内部通報責任者に連絡するものとする。
(確認)
第13条
内部通報責任者は、通報された事項に関して、事実関係を確認し、調査を開始するか否かを速やかに決定する。
2.内部通報責任者は、通報の内容が、当社もしくは当社グループと関係がない、または当社もしくは当社グループに損害を与えるものではない場合には、調査をしないと決定することができる。
(調査)
第14条
通報者により通報等された事項に関し事実関係の調査が必要と認めた場合、内部通報責任者は、当該通報の内容について公正かつ公平な調査を行う。
2.内部通報責任者は、前項の調査のため、関係部門等に調査を命じることができる。
3.調査等に係る者は、調査等に関し知り得た事項については、他に漏らしてはならない。
(調査報告)
第15条
内部通報責任者は、調査中逐次、および調査終了後直ちに、前条の調査状況および調査結果について、代表取締役に報告を行うものとする。
2.内部通報責任者は、前条の調査結果により、不正行為があきらかになった場合、取締役会に報告するものとする。
~作成のポイント~
リスク・コンプライアンス委員会のようなものを設置している場合、当該委員会を挟む方法や、重要度に応じて報告先機関を変更する事が考えられます。
この場合第2項の取締役会が委員会への報告となり、第3項として「内部通報責任者は、前条の調査結果により、当社に重大な影響を及ぼすと判断した場合は、取締役会に報告するものとする。」というような文言を追加する事が考えられます。
(是正措置)
第16条
第14条の調査の結果、不正行為があきらかになった場合、内部通報責任者は、是正および再発防止措置を講じるものとする。
(処分)
第17条
第14条の調査の結果、当社において不正行為が明らかになった場合には、当社は当該行為に関与した者に対し、当社の就業規程に従って、相当の処分を課すことができる。
(通知)
第18条
内部通報責任者は、被通知者(その者が不正を行った、行っているまたは行おうとしていると通報された者をいう。)のプライバシーに配慮しつつ、その調査結果および是正および再発防止措置について、通報者に対し速やかに通知しなければならない。ただし、通報等が匿名で行なわれたことにより、通報者に通知出来ない場合はこの限りではない。
2.当該通報者は、当該通知により知り得た内容について他に漏らしてはならない。
(事後調査)
第19条
当社の内部監査部門は、通報された事項についての調査結果に対する対応が終了した場合、違反行為が再発していないか、再発防止策等が有効に機能しているか、通報者に対する報復行為が行われていないかについて、相当と認められる期間、定期的に調査するものとする。
~作成のポイント~
内部監査室を独立して設置していない企業の場合には「内部監査部門」というような役割指定を行うのが良いでしょう。
第3章 その他
(改廃)
第20条
本規程は、取締役会の決議により、改廃する。
附則
本規定はYYYY年MM月DD日より施行する。
以上
取締役会の運営管理プラットフォーム「michibiku/ミチビク」
「取締役会の運営管理をもっと効率化したい」と感じていませんか?
取締役会の運営管理プラットフォーム「michibiku/ミチビク」なら、招集通知の作成・回覧、取締役会議事録の作成・文面サジェスト・会議音声の文字起こし・回覧、電子署名、書類管理までがシステムで一括管理が可能です。
紙とハンコから脱却し、取締役会管理のDX化と法律を遵守した業務フローを実現します。
クラウド上で簡単に操作ができるため、ストレスなく導入ができます。
また、取締役会以外にも監査役会/監査等委員会、その他、経営会議やリスク・コンプライアンス委員会といった会社で行われている重要会議も管理することができます。
「michibiku」の資料をダウンロードしてみる
ライター:ミチビク編集部
michibiku+は、取締役会、監査役会、監査等委員会の手続きをDXするクラウドサービス「michibiku」から生まれた、コーポレートガバナンス関連情報に特化したメディアです。 コーポレート・ガバナンスDXサービス「michibiku」だけでは解決しきれない様々な悩みや課題に対して、実務に直結する情報を発信していきます。