2026.10.29
臨時株主総会議事録のひな形と書き方!押印の要否と役員変更時の記載例
「臨時株主総会議事録には、何を記載すればよいのか」
「役員変更の登記で議事録に不備がないか不安」
と感じる担当者もいるのではないでしょうか。
臨時株主総会を開催した場合は、会社法318条に基づいて議事録を作成し、会社法施行規則72条で定められた事項を記載する必要があります。また、役員変更など登記を伴うケースでは、議事録の内容だけでなく、押印の要否や株主リストなどの添付書類も確認しなければなりません。
本記事では、臨時株主総会議事録の基本的な記載事項をはじめ、役員選任・役員報酬・みなし決議などケース別の書き方を解説します。あわせて、押印や登記申請時の確認ポイント、議事録作成を効率化するための事務局実務についても紹介します。
臨時株主総会議事録の記載事項とは?会社法318条・会社法施行規則72条を確認
臨時株主総会を開催した場合は、会社法318条に基づいて議事録を作成し、会社法施行規則72条で定められた事項を記載する必要があります。議事録は、総会でどのような審議・決議が行われたのかを後から確認するための重要な記録です。
また、作成後は本店で10年間備え置くなど、保存についてもルールが定められています。ここでは、臨時株主総会議事録の作成・備置義務、基本的な記載事項、招集手続を省略した場合やオンラインで出席者がいる場合の記載ポイントを確認します。
臨時株主総会議事録の作成義務と10年間の備置期間
会社法318条1項では、株主総会の議事について、法務省令で定めるところにより議事録を作成しなければならないと定めています。定時株主総会だけでなく、臨時株主総会を開催した場合も対象です。
作成した議事録は、株主総会の日から10年間、本店に備え置かなければなりません。また、支店がある場合は、原則として議事録の写しを5年間備え置く必要があります。
ただし、議事録を電磁的記録で作成し、支店で株主や債権者からの閲覧・謄写請求に応じられるよう法務省令で定める措置をとっている場合は、支店への備置を省略できます。
臨時株主総会議事録は、役員変更などの登記申請で添付書面となる場合があるほか、株主や債権者から閲覧・謄写を請求されることもあります。そのため、総会終了後に作成して終わりではなく、後から決議内容や手続を確認できる状態で適切に保存することが重要です。
また、会社法976条では、議事録に記載すべき事項を記載しない場合や虚偽の記載をした場合、法定の備置義務に違反した場合などについて、100万円以下の過料の対象となる規定が設けられています。
参考:e-Gov法令検索「会社法第318条・第976条」
https://laws.e-gov.go.jp/law/417AC0000000086
会社法施行規則72条で定められた議事録の主な記載事項
臨時株主総会議事録を作成する際は、会社法施行規則72条3項に定められた事項を確認します。
主な記載事項は次のとおりです。
| 項目 | 法定記載事項 | 実務上の確認ポイント |
|---|---|---|
| ①日時・場所 | 株主総会が開催された日時および場所 | 開催日時と会場を正確に記載する |
| ②議事の経過・結果 | 議事の経過の要領およびその結果 | 議案の審議経過や可決・否決などの結果を記載する |
| ③一定の意見・発言 | 会社法上の特定の規定に基づく意見・発言があった場合の概要 | 該当する発言があった場合に内容の概要を残す |
| ④出席役員等 | 出席した取締役・執行役・会計参与・監査役・会計監査人の氏名または名称 | 実際の出席状況と照合する |
| ⑤議長 | 議長がいる場合の氏名 | 定款や当日の選任状況と確認する |
| ⑥議事録作成取締役 | 議事録の作成に係る職務を行った取締役の氏名 | 誰が議事録作成を担当したかを明記する |
会社法施行規則72条が求めているのは「議事の経過の要領」であり、総会でのすべての発言を逐語的に文字起こしすることまでは求められていません。
一方で、どの議案についてどのような審議が行われ、どのような結果になったのかが後から確認できるよう、必要な経過を整理して記載することが大切です。
また、役員変更など登記を伴う決議では、登記申請の添付書面として議事録を使用する場合があります。法定記載事項だけでなく、登記手続で確認される決議内容についても、漏れなく記載されているか確認しましょう。
参考:e-Gov法令検索「会社法施行規則第72条」https://laws.e-gov.go.jp/law/418M60000010012#Mp-Pa_2-Ch_4-Se_1-Ss_1
招集手続を省略した場合やオンライン参加がある場合の記載ポイント
臨時株主総会では、株主全員の同意を得て会社法300条に基づく招集手続の省略を利用する場合があります。
会社法施行規則72条3項には、招集手続を省略した旨そのものを議事録へ記載することを直接求める規定はありません。ただし、通常の招集手続を経ずに開催した経緯を後から確認できるよう、実務上は「株主全員の同意により招集手続を省略して開催した」旨を記録しておく方法が考えられます。
また、オンラインで株主や役員などが出席した場合には注意が必要です。会社法施行規則72条3項1号では、株主総会の開催場所にいない取締役や監査役、株主などが出席した場合、その出席方法を議事録の内容に含めることとしています。
例えば、会場外からWeb会議システムを利用して出席した場合は、誰がどのような方法で出席したのかが分かるように記載します。ただし、「双方向・リアルタイムの通信環境について必ず詳細に議事録へ記載しなければならない」とまで会社法施行規則72条が定めているわけではありません。
オンライン出席を取り入れる場合は、出席者の本人確認や通信環境、質問・議決権行使の方法など、株主総会の運営面についても事前に整理しておく必要があります。経済産業省の「ハイブリッド型バーチャル株主総会の実施ガイド」でも、本人確認や議決権行使、通信障害への対応などの実務上の論点が整理されています。
参考:e-Gov法令検索「会社法第300条」https://laws.e-gov.go.jp/law/417AC0000000086#Mp-At_301-Pr_1
参考:e-Gov法令検索「会社法施行規則第72条」https://laws.e-gov.go.jp/law/418M60000010012#Mp-Pa_2-Ch_4-Se_1-Ss_1
参考:経済産業省「ハイブリッド型バーチャル株主総会に関する制度」https://www.meti.go.jp/policy/economy/keiei_innovation/keizaihousei/corporategovernance/virtual-only-shareholders-meeting.html
【ケース別】臨時株主総会議事録の書き方と記載例
臨時株主総会では、役員の選任や役員報酬の変更など、開催目的に応じて議事録に記載する内容が変わります。また、実際に株主総会を開催せず、会社法319条に基づく「みなし決議」を利用する場合は、通常の株主総会とは異なる事項を記録しなければなりません。
ひな形をそのまま使うのではなく、決議内容や自社の機関設計、定款などに合わせて調整することが重要です。ここでは、代表的なケースごとに臨時株主総会議事録の書き方と記載例を紹介します。
【役員変更】取締役・監査役を選任するときの議事録の書き方
取締役や監査役を選任する場合は、誰を選任したのか、どのような結果で議案が承認されたのかが分かるように記載します。役員の選任は、原則として株主総会の決議によって行います。また、選任決議の要件については会社法341条や定款を確認する必要があります。
記載例は次のとおりです。
第1号議案 取締役1名選任の件
議長は、取締役1名を選任したい旨を述べ、候補者として
下記の者を推薦し、その可否を議場に諮ったところ、
必要な賛成を得て原案どおり承認可決された。
取締役 〇〇〇〇
なお、被選任者は席上、その就任を承諾した。
役員変更登記を行う場合、株主総会議事録に被選任者が席上で就任を承諾した旨を記載することで、別途の就任承諾書を省略できる場合があります。
ただし、新たに就任する取締役・監査役について株主総会議事録を就任承諾書として援用する場合は、住所・氏名の記載など、登記手続上の要件にも注意が必要です。必要となる書類は、取締役会設置会社かどうかなどによって異なるため、法務局の申請書様式も確認しましょう。
参考:法務局「株式会社変更登記申請書(役員変更)」https://houmukyoku.moj.go.jp/homu/content/001252657.pdf
【役員報酬】役員報酬の決定・変更を行う場合の記載ポイント
取締役の報酬等は、指名委員会等設置会社を除き、定款に定めがない場合には会社法361条に基づく株主総会決議で定めます。監査等委員会設置会社では、監査等委員である取締役と、それ以外の取締役とを区別して定める必要があります。
指名委員会等設置会社では、法定の報酬委員会が取締役・執行役等の個人別の報酬等を決定します。以下の記載例は、監査等委員会設置会社・指名委員会等設置会社以外の会社を想定しています。
会社法361条では、金額が確定している報酬についてはその額、金額が確定していないものについては具体的な算定方法などを定めることとしています。株式報酬などの場合は、報酬の種類に応じて確認すべき事項が異なります。
例えば、取締役全体の報酬上限額を変更する場合は、次のような記載が考えられます。
第1号議案 取締役の報酬額改定の件
議長は、取締役の報酬額を年額〇〇円以内とする旨を説明し、
その可否を議場に諮ったところ、必要な賛成を得て
原案どおり承認可決された。
個人別の報酬額の決定を取締役会などへ委ねる場合は、実際に株主総会で決議した内容と一致するよう記載します。また、会社の機関設計によっては、個人別報酬の決定方針について会社法361条7項の規定が適用される場合もあります。
「役員報酬なら必ず総額だけを決議し、個人別報酬を取締役会に一任する」と一律に考えるのではなく、既存の株主総会決議や定款、報酬決定方針などを確認して議事録を作成しましょう。
参考:e-Gov法令検索「会社法第361条」
https://laws.e-gov.go.jp/law/417AC0000000086/#TOC
【みなし決議】会社法319条による書面決議の議事録の書き方
株主全員が一堂に会して総会を開催しなくても、会社法319条1項の要件を満たせば、株主総会の決議があったものとみなすことができます。
取締役または株主が株主総会の目的事項について提案し、その事項について議決権を行使できる株主全員が書面または電磁的記録によって同意した場合に成立します。
みなし決議の場合も議事録を作成します。会社法施行規則72条に基づき、決議があったものとみなされた事項、提案者、決議があったものとみなされた日、議事録作成に係る職務を行った取締役などを記載します。
記載例は次のとおりです。
1.株主総会の決議があったものとみなされた事項の内容
第1号議案 定款一部変更の件
当会社の定款を、別紙「定款変更案(新旧対照表)」のとおり変更する。
なお、別紙は本議事録の一部を構成する。
2.上記事項を提案した者
代表取締役 〇〇〇〇
3.株主総会の決議があったものとみなされた日
令和〇年〇月〇日
4.議事録の作成に係る職務を行った取締役
代表取締役 〇〇〇〇
みなし決議では、通常の株主総会のような開催日時や会場、採決の経過を記載するのではなく、制度に対応した記載事項を用いる点がポイントです。
また、株主全員の同意がそろった時点との関係を確認し、決議があったものとみなされた日を正確に整理しましょう。会社法319条に基づく同意書面または電磁的記録は、決議があったものとみなされた日から10年間、本店に備え置く必要があります。
参考:e-Gov法令検索「会社法第319条」
https://laws.e-gov.go.jp/law/417AC0000000086/#TOC
参考:e-Gov法令検索「会社法施行規則第72条」https://laws.e-gov.go.jp/law/418M60000010012#Mp-Pa_2-Ch_4-Se_1-Ss_1
臨時株主総会議事録のひな形を使うときに確認したい項目
臨時株主総会議事録のひな形を利用すると、基本的な項目を整理しやすくなります。ただし、会社ごとに機関設計や定款、決議内容が異なるため、テンプレートをそのまま流用するのは避けましょう。
特に確認したいのは次の項目です。
- 機関設計:取締役会設置会社か、監査役・監査等委員会などを設置しているか
- 定款の内容:株主総会の議長や決議要件、議事録に関する独自の規定がないか
- 決議要件:対象議案について必要な定足数・賛成数を満たしているか
- 登記の有無:役員変更など、決議後に登記申請が必要となる事項か
- 記載内容の整合性:招集通知や株主総会参考書類、実際の決議内容と議事録に食い違いがないか
とくに登記申請へ使用する議事録では、会社法上の議事録として必要な事項だけでなく、登記する内容を証明する書面として必要な情報も確認する必要があります。
ひな形は作成作業を効率化するための土台として活用し、実際の決議内容や自社の状況に応じて必要な修正を加えることが大切です。役員変更など判断に迷う場合は、法務局が公開する申請書様式・記載例を確認し、必要に応じて司法書士などの専門家へ相談するとよいでしょう。
参考:法務局「商業・法人登記の申請書様式」https://houmukyoku.moj.go.jp/homu/COMMERCE_11-1.html
臨時株主総会議事録に押印は必要?登記申請で確認したいポイント
臨時株主総会議事録を作成する際、「誰が押印するのか」「実印まで必要なのか」と迷う担当者もいるのではないでしょうか。
会社法上、株主総会議事録には一律の署名・押印義務が設けられていません。一方、役員変更や代表取締役の変更などを登記する場合には、会社の機関設計や決議内容によって、議事録への押印や印鑑証明書などが必要になるケースがあります。法務局も、取締役会非設置会社が株主総会で代表取締役を定める場合などについて、登記実務上の押印要件を案内しています。
ここでは、臨時株主総会議事録の押印の考え方、役員変更登記で確認したい添付書類、株主リスト、登記期限について整理します。
株主総会議事録への押印が必要となるケースを確認する
会社法318条および会社法施行規則では、株主総会議事録について、出席者が一律に署名・押印しなければならないとは定められていません。法務局も、原則として株主総会議事録への署名または記名押印は必要ないと案内しています。
ただし、次のような場合には別途確認が必要です。
| ケース | 確認するポイント |
|---|---|
| 通常の株主総会議事録 | 会社法上、一律の押印義務はない |
| 定款に署名・押印の規定がある | 定款の定めに従って対応する |
| 登記申請の添付書面として使用する | 登記事項や機関設計に応じて押印・印鑑証明書が必要となる場合がある |
例えば、取締役会を設置していない会社が株主総会の決議によって代表取締役を定め、その変更登記を申請する場合には、原則として議長および出席取締役が、市町村に登録した印鑑で議事録へ押印する必要があります。ただし、変更前の代表取締役が登記所に提出している会社の印鑑で押印している場合には、取扱いが異なります。
そのため、「株主総会議事録だから押印不要」「役員変更なら必ず全員が実印を押す」と一律に判断せず、定款・会社の機関設計・今回の登記事項を確認することが重要です。
参考:法務局「よくあるご質問等<商業・法人登記関係>Q20」https://houmukyoku.moj.go.jp/homu/static/shougyou.html
役員変更登記で議事録とあわせて確認したい添付書類
臨時株主総会で取締役や監査役を選任し、役員変更登記を行う場合は、株主総会議事録だけでなく、変更内容に応じた添付書類を準備します。
主な書類として、次のものが挙げられます。
- 株主総会議事録
- 株主リスト
- 新任役員の就任承諾書
- 必要に応じた本人確認証明書
- 必要に応じた印鑑証明書
- 代表取締役の変更を伴う場合の取締役会議事録や互選書など
- 辞任を伴う場合の辞任届
ただし、すべての役員変更で同じ書類が必要になるわけではありません。取締役会設置会社か非設置会社か、新たに就任するのが取締役・監査役・代表取締役のいずれかなどによって必要書類は異なります。
また、株主総会議事録に、新任の取締役や監査役が席上で就任を承諾した旨と住所・氏名を記載している場合には、就任承諾書を別途添付せず、議事録の記載を援用できるケースがあります。法務局の役員変更登記の記載例でも、この取扱いが示されています。
一方、取締役会非設置会社の新任取締役などでは、就任承諾書への実印の押印や印鑑証明書が必要となる場合があります。総会終了後に必要書類が不足していることに気付かないよう、事務局では株主総会の準備段階から登記までの必要書類を確認しておきましょう。
参考:法務局「株式会社変更登記申請書(役員変更)」https://houmukyoku.moj.go.jp/homu/page8_000001_00021.html
株主リストが必要となる登記と作成時の注意点
登記すべき事項について株主総会の決議が必要となる場合は、原則として登記申請時に「株主リスト」を添付します。会社法319条1項によるみなし決議の場合も、登記事項について株主総会決議を要する場合には株主リストが必要です。
株主総会決議を要する場合に株主リストへ記載するのは、原則として次のいずれか少ない方の株主です。
- 議決権数の多い順で上位10名の株主
- 議決権割合を多い順に加算し、合計が3分の2に達するまでの株主
株主リストには、主に次の事項を記載します。
- 株主の氏名または名称
- 住所
- 保有株式数
- 議決権数
- 総議決権数に対する議決権割合
これらの事項について会社の代表者が証明します。なお、対象となるのは実際に総会へ出席した株主だけではありません。議決権を行使しなかった株主や欠席株主であっても、対象となる条件を満たせば株主リストへ記載します。
また、登記すべき事項について株主全員の同意を要する場合には、株主全員を記載した株主リストが必要です。株主総会決議の場合とは対象範囲が異なるため、使用する様式を取り違えないよう注意しましょう。
参考:法務省「『株主リスト』が登記の添付書面となりました」https://houmukyoku.moj.go.jp/nara/content/001206468.pdf
役員変更登記の期限と議事録不備による補正を防ぐ確認ポイント
会社法915条では、株式会社の登記事項に変更が生じた場合、原則として変更が生じた日から2週間以内に本店所在地で変更登記を行うこととしています。
そのため、役員を選任した臨時株主総会の日が常に登記期限の起算点になるとは限りません。選任決議と同時に就任する場合もあれば、別途就任日や効力発生日を定めるケースもあるため、実際に登記事項へ変更が生じた日を確認する必要があります。
申請前には、次のような項目を確認しましょう。
- 氏名・役職などの表記
議事録、就任承諾書、登記申請書で記載内容が一致しているか確認します。 - 決議内容と議決権数
必要な決議要件を満たしているか、議事録に記載した株主数や議決権数に矛盾がないか確認します。 - 就任日・退任日・効力発生日
株主総会開催日と実際に登記事項が変更された日を整理します。 - 添付書類と押印
株主リスト、就任承諾書、本人確認証明書、印鑑証明書などが必要かを確認します。 - 最新の法務局様式
過去の申請書をそのまま流用せず、現在の申請書様式や記載例を確認します。法務局の役員変更登記様式は2026年にも更新されています。
登記申請に不備があれば補正を求められる可能性があります。また、必要な変更登記を期間内に行わなかった場合には、会社法上の過料の対象となる可能性があります。
事務局では、株主総会議事録を完成させてから登記準備を始めるのではなく、総会準備から登記申請までを一つのスケジュールとして管理することが大切です。
参考:e-Gov法令検索「会社法第915条」https://laws.e-gov.go.jp/law/417AC0000000086#Mp-Pa_7-Ch_4-Se_2
参考:法務局「商業・法人登記の申請書様式」https://houmukyoku.moj.go.jp/homu/COMMERCE_11-1.html
臨時株主総会議事録の作成を効率化する事務局の実務
臨時株主総会では、開催準備から議事録作成、必要に応じた登記手続までを短期間で進めなければならない場合があります。法務・総務などが事務局を兼任している場合、通常業務と並行して議事の記録や法定記載事項の確認、関連資料との照合を行うことが負担になりやすいでしょう。
こうした業務を効率化するには、単に議事録作成のスピードを上げるだけではなく、テンプレートやチェックリストによる標準化、関連会議の資料を確認しやすい管理環境を整えることが重要です。
ここでは、議事録作成に時間がかかる原因と見直し方法、取締役会議事録との関連付け、取締役会DXを活用した情報管理について解説します。
議事録作成に時間がかかる3つの原因と見直したい業務
臨時株主総会議事録の作成に時間がかかる背景には、議事内容の整理だけでなく、法令上の記載事項の確認や関連書類との照合作業があります。
特に、次の3つは事務局の負担になりやすいポイントです。
- 会議内容を議事録として整理する作業
当日のメモや記録をもとに、議事の経過と結果を整理します。すべての発言をそのまま文字起こしする必要はありませんが、会社法施行規則72条に沿って必要な内容を取捨選択する作業が発生します。 - 法定記載事項や登記関連事項の確認
開催日時、出席役員、議長、決議結果などの記載事項に加えて、役員変更など登記を伴う場合は、就任日や氏名、株主リストなど他の書類との整合性も確認する必要があります。 - 複数の資料・ファイルを照合する作業
招集を決定した取締役会資料、招集通知、株主総会参考書類、当日の議事録などが別々に管理されていると、最新版の確認や修正内容の反映に手間がかかります。
まずは、どの工程に時間がかかっているのかを整理し、繰り返し発生する確認作業やファイル管理から見直すとよいでしょう。
テンプレートとチェックリストで議事録作成を標準化する
臨時株主総会の開催頻度が低い会社では、担当者が過去の議事録を探し、その都度書式を作り直しているケースも考えられます。
こうした作業を減らすには、議案の種類に応じたテンプレートと確認用チェックリストをあらかじめ整備しておく方法が有効です。
例えば、次のような分類でひな形を用意しておくと使い分けやすくなります。
- 取締役・監査役の選任
- 役員報酬の決定・変更
- 定款変更
- 会社法319条によるみなし決議
チェックリストには、会社法施行規則72条の記載事項だけでなく、議案名や役員氏名、決議結果、効力発生日、登記の有無、添付書類などを盛り込んでおくと、確認漏れを防ぎやすくなります。
ただし、テンプレートはあくまで作成の土台です。機関設計や定款、実際の決議内容によって記載すべき事項は異なるため、過去の議事録をそのまま複製するのではなく、今回の総会内容に合わせて修正する必要があります。
取締役会議事録と株主総会議事録を関連付けて管理する
取締役会設置会社が臨時株主総会を開催する場合、株主総会の日時・場所や目的事項などの招集事項は、原則として取締役会で決定します。
そのため、臨時株主総会議事録だけを単独で管理するのではなく、招集を決定した取締役会の議案・議事録や招集通知などもあわせて確認できる状態にしておくと、実務を進めやすくなります。
例えば、次の資料を同じ案件単位で整理しておく方法があります。
- 取締役会の議案・資料
- 取締役会議事録
- 臨時株主総会の招集通知
- 株主総会参考書類
- 臨時株主総会議事録
- 株主リストや登記関連書類
こうした資料を関連付けて管理すれば、取締役会で決定した議案名と株主総会議事録の表記が一致しているか、変更内容が正しく反映されているかを確認しやすくなります。
また、後日同様の手続を行う際にも、過去の一連の資料を参照しやすくなります。
参考:e-Gov法令検索「会社法第298条」https://laws.e-gov.go.jp/law/417AC0000000086#Mp-Pa_2-Ch_4-Se_1-Ss_1
取締役会DX「michibiku」で重要会議の資料・議事録を管理する
議事録作成や資料管理の効率化を検討する場合、取締役会などの重要会議をデジタルで管理する仕組みを整えることも選択肢の一つです。
取締役会DXプラットフォーム「michibiku」では、招集通知や議事録などの書類作成支援、会議音声のAIによる自動文字起こし・要約、電子署名、資料管理などの機能を提供しています。また、取締役会だけでなく、監査等委員会や経営会議などの重要会議を管理できることも公式サイトで案内されています。
例えば、会議音声をAIで文字起こしし、その内容を自動要約する機能を活用すれば、議事録作成時のたたき台として利用できます。ただし、AIが生成した文章をそのまま法定議事録として使用するのではなく、実際の決議内容や会社法施行規則72条の記載事項と照合したうえで、担当者が確認することが重要です。
また、michibikuでは電子署名やオンライン登記を支援する機能も公式に案内されています。電子署名については、製本・郵送・押印を伴う業務をオンライン化でき、登記に利用できる機能も提供されています。
重要会議の資料を同じプラットフォームで管理できれば、必要な情報を探しやすくなり、事務局内での確認作業や引き継ぎにも活用できます。まずは自社の議事録作成・資料管理のどこに負担が生じているかを整理し、その課題に合った機能を取り入れることが大切です。
まとめ:臨時株主総会議事録の記載事項と押印・登記手続きを確認しよう
臨時株主総会を開催した場合は、会社法318条に基づいて議事録を作成し、会社法施行規則72条で定められた事項を記載する必要があります。作成した議事録は、本店で株主総会の日から10年間備え置かなければなりません。
また、役員変更など登記を伴う決議では、議事録の内容だけでなく、押印の要否や就任承諾書、株主リストなどの添付書類も確認することが重要です。登記事項に変更が生じた場合は、原則として変更が生じた日から2週間以内に登記する必要があるため、総会準備から登記申請までを一連のスケジュールとして管理しましょう。
議事録作成の負担を軽減するには、議案ごとのテンプレートやチェックリストを整備し、関連資料を確認しやすい環境をつくることも有効です。取締役会DXなどの仕組みも活用しながら、正確性と効率性の両方を意識した事務局運営につなげていきましょう。





