支配株主等に関する事項とは?開示の対象会社・記載例・親会社からの独立性の説明方法

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支配株主等に関する事項とは?開示の対象会社・記載例・親会社からの独立性の説明方法

親会社や支配株主等を有する上場会社では、「支配株主等に関する事項について」の開示が必要となる場合があります。一方で、「自社が開示対象に該当するのか」「グループ内での位置づけや親会社等からの独立性をどこまで説明すればよいのか」と迷う担当者もいるのではないでしょうか。

特に、親会社等との人的・資本的関係や取引関係、少数株主保護の方策については、形式的な説明だけでなく、自社の実際のガバナンス体制や意思決定プロセスと整合した内容を記載することが重要です。

本記事では、「支配株主等に関する事項について」の対象となる会社や開示時期などの基本を整理したうえで、親会社等の商号・議決権所有割合、グループ内での位置づけ、独立性の確保策、支配株主等との取引、少数株主保護の方策について、項目ごとの書き方を解説します。あわせて、開示内容を支える取締役会での審議や資料・議事録の管理についても紹介します。

「支配株主等に関する事項について」とは?対象会社と開示時期を確認

「支配株主等に関する事項について」は、支配株主またはその他の関係会社を有する上場会社が、資本関係やグループ内での位置づけ、少数株主保護に関する事項などを開示するものです。東京証券取引所では、有価証券上場規程411条1項などに基づき、対象となる上場会社に事業年度経過後3か月以内の開示を求めています。

実務では、「親会社がいるから対象」と単純に判断するのではなく、事業年度末時点における支配株主・その他の関係会社の有無を確認することが重要です。ここでは、開示の位置づけや対象範囲、TDnetによる開示までの基本的な流れを整理します。

「支配株主等に関する事項について」を開示する目的と基本的な位置づけ

「支配株主等に関する事項について」は、支配株主やその他の関係会社を有する上場会社について、投資者が会社と支配株主等との関係を理解・判断するために必要な情報を提供する開示です。

東京証券取引所の開示実務では、親会社や支配株主、その他の関係会社等の状況に加え、上場会社との関係などについて所定の事項を記載することが求められています。また、所定の項目だけでなく、投資者が会社情報を適切に理解・判断するために必要な事項がある場合には、その内容も記載します。

支配株主を有する会社では、支配株主やその関係者との取引において、支配株主等の利益と、上場会社およびその少数株主の利益が相反する可能性があります。そのため、コーポレート・ガバナンス報告書では少数株主保護の方策に関する指針を記載し、その履行状況について「支配株主等に関する事項について」で定期的に開示する仕組みとなっています。

つまり、単に「親会社が存在する」という事実を示すだけではなく、上場会社がグループ内でどのような位置づけにあり、少数株主の利益に配慮した運営をどのように行っているかを説明する開示として捉えることが重要です。

支配株主・親会社等・その他の関係会社を有する場合の対象範囲

「支配株主等に関する事項について」の開示が必要となるのは、事業年度末日時点で支配株主またはその他の関係会社を有する上場会社です。非上場の親会社を有する会社だけが対象になるわけではなく、上場・非上場を問わず、該当する支配株主またはその他の関係会社を有していれば対象となります。

東京証券取引所における「支配株主」には、主に次の者が含まれます。

  • 親会社
  • 主要株主のうち、本人と一定の近親者・関係会社等が所有する議決権を合算して、上場会社の議決権の過半数を占める者

そのため、単に「主要株主だから支配株主」となるわけではありません。本人だけでなく、二親等内の親族や一定の会社等が保有する議決権を含めて判定する場合があります。

また、「その他の関係会社」についても、議決権所有割合だけで一律に判断するのではなく、会計上の関係会社の判定を確認する必要があります。自社が対象となるか判断するときは、最新の株主構成や議決権割合に加え、親会社・関連会社に該当する関係も確認しましょう。

なお、判定時点にも注意が必要です。事業年度末時点で支配株主等を有していなかった会社が、その後3か月以内に新たに支配株主等を有することになった場合、その年度分の「支配株主等に関する事項について」は不要とされています。ただし、支配株主等の異動自体については、別途適時開示が必要となる場合があります。

参考:東京証券取引所「『支配株主』の定義について」
https://faq.jpx.co.jp/disclo/tse/web/knowledge8560.html

開示時期とTDnetで提出するときの実務フロー

対象となる上場会社は、原則として事業年度経過後3か月以内に「支配株主等に関する事項について」を開示します。また、この開示には軽微基準が設けられていないため、対象会社であれば所定の期限内に対応する必要があります。

開示内容は、原則として最近事業年度の末日現在の状況を基準に作成します。ただし、事業年度末後に支配株主またはその他の関係会社の異動が生じている場合は、その異動も踏まえて最近日現在の状況を記載します。

実務では、次のような流れで準備すると整理しやすくなります。

  1. 事業年度末時点の株主関係を確認する
    支配株主またはその他の関係会社を有しているか確認します。
  2. 最新の開示様式・記載要領を確認する
    東京証券取引所が提供する「支配株主等に関する事項について」の開示様式例と記載要領を確認します。
  3. 必要な情報を社内で収集する
    議決権所有割合、グループ内での位置づけ、独立性に関する説明、支配株主との取引、少数株主保護の方策などを整理します。
  4. 記載内容を社内で確認する
    IR・法務・経営企画などの関係部署で、コーポレート・ガバナンス報告書や他の開示資料との整合性も確認します。
  5. TDnetを通じて開示する
    確定した資料を適時開示情報伝達システム(TDnet)から開示します。

社内承認の方法や自社Webサイトへの掲載手順については、各社の情報開示規程や社内フローに応じて整理しましょう。

参考:東京証券取引所「支配株主等に関する事項の開示」
https://faq.jpx.co.jp/disclo/tse/web/knowledge6856.html

参考:東京証券取引所「適時開示制度の概要等」
https://faq.jpx.co.jp/disclo/tse/web/knowledge7907.html

「支配株主等に関する事項について」の書き方と記載項目

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「支配株主等に関する事項について」を作成する際は、東京証券取引所が公表している記載要領や開示様式例を確認し、自社の実態に応じた内容を記載することが重要です。東証の記載要領では、親会社等の商号や議決権所有割合だけでなく、グループ内での位置づけ、親会社等からの独立性、支配株主等との取引などについても開示項目が示されています。

特に、親会社等との人的・資本的関係や取引関係がある場合は、「独立性を確保している」と結論だけを書くのではなく、その関係が経営や事業活動にどのような影響を与えているのかまで整理して説明すると、実態が伝わりやすくなります。

親会社等の商号・属性・議決権所有割合の記載方法

最初に、親会社、支配株主(親会社を除く)、その他の関係会社またはその他の関係会社の親会社について、基本情報を整理します。

東京証券取引所の記載要領では、主に次の事項を記載します。

  • 親会社等の商号または名称
  • 属性
  • 上場会社の議決権に対する所有割合
  • 直接所有分と間接所有分・合算対象分
  • 親会社等が発行する株券等が上場している金融商品取引所等

議決権所有割合については、親会社、その他の関係会社およびその他の関係会社の親会社では間接所有分、支配株主(親会社を除く)では支配株主への該当性を判断する際の合算対象者が保有する議決権割合についても確認します。

例えば、記載イメージは次のとおりです。

当社の親会社である〇〇株式会社は、当社議決権の〇〇%を所有しております。同社は東京証券取引所プライム市場に上場しております。

実際の開示では、東証の様式に沿って表形式で記載するのが基本です。親会社等が複数存在する場合には、上場会社に与える影響が最も大きいと認められる会社等と、その理由について記載が必要となる場合もあります。

参考:東京証券取引所「支配株主等に関する事項の開示」
https://faq.jpx.co.jp/disclo/tse/web/knowledge6856.html

グループ内での位置づけと親会社等からの独立性の説明方法

親会社等を有する場合は、企業グループ内で自社がどのような役割を担っているのか、また親会社等との関係が経営の独立性にどのような影響を与えているのかを説明します。

東京証券取引所の記載要領では、親会社等やそのグループ企業との取引関係、人的関係、資本関係などから、上場会社の位置づけを具体的に記載することが求められています。

例えば、次のような関係がある場合は、その内容を整理します。

  • 親会社等の役員・従業員による役員兼務
  • 親会社等からの出向者の受入れ
  • 親会社等との売上・仕入などの取引
  • 金銭の貸借や保証・被保証関係
  • ライセンスの供与
  • 設備等の賃貸借
  • 資本関係

これらの関係がある場合は、可能な範囲で人数、金額、構成比などを用いて具体的に説明することが望ましいとされています。さらに、その関係による事業上の制約・リスク・メリットや経営への影響、それを踏まえた独立性確保の考え方を関連付けて記載すると分かりやすくなります。

記載イメージは次のとおりです。

当社は〇〇グループに属しておりますが、事業計画や重要な経営判断については当社の取締役会等において審議・決定しております。また、親会社から役員〇名を受け入れておりますが、当社の意思決定体制や取引関係等を踏まえ、親会社等から一定の独立性を確保しているものと判断しております。

この部分は定型文をそのまま使用するのではなく、なぜ独立性を確保できていると判断するのか、その根拠を自社の実態に合わせて記載することがポイントです。

参考:東京証券取引所「支配株主等に関する事項の開示」
https://faq.jpx.co.jp/disclo/tse/web/knowledge6856.html

支配株主等との取引に関する事項の書き方

支配株主等との取引がある場合は、その内容についても開示します。

東京証券取引所の記載要領では、関連当事者との取引に関する事項のうち、支配株主等との取引について記載することが示されています。決算短信などの関連する開示資料を参照する形とすることができる場合もあります。

取引がある場合は、単に「取引があります」と記載するだけではなく、取引内容や条件をどのように決定しているのかについても、自社の実態に応じて整理するとよいでしょう。

例えば、次のような記載が考えられます。

当社は親会社との間で〇〇に関する取引を行っております。取引条件については、市場価格や第三者との取引条件等を参考にしながら、個別に協議のうえ決定しております。

重要なのは、「一般の取引と同等」「適正な価格」といった表現だけで終わらせず、実際にどのような基準や手続によって条件を決定しているのかを確認したうえで記載することです。

また、支配株主が関係する重要な取引等については、上場規程上、少数株主にとって不利益なものではないことについて、支配株主から独立性を有する者から意見を取得することなどが求められる場合があります。対象となる取引については、通常の年次開示とは別に必要となる手続も確認しましょう。

参考:東京証券取引所「支配株主との重要な取引等に係る企業行動規範に関する実務上の留意事項等」https://faq.jpx.co.jp/disclo/tse/web/knowledge7790.html

少数株主保護の方策とその実施状況の記載ポイント

支配株主を有する上場会社では、コーポレート・ガバナンス報告書において、支配株主との取引等を行う際における少数株主保護の方策に関する指針を記載します。「支配株主等に関する事項について」では、その指針に定めた方策が実際にどのように履行されているのかを確認して記載します。

少数株主保護の仕組みとしては、会社の状況に応じて次のような方法が考えられます。

  • 独立社外取締役による監督
  • 支配株主から独立性を有する者で構成する特別委員会の活用
  • 関連当事者取引に関する社内規程の整備
  • 支配株主との重要取引についての事前審議
  • 利益相反がある役員の審議・決議への参加方法の整理

コーポレートガバナンス・コードでも、支配株主を有する上場会社について、独立社外取締役や特別委員会を活用して利益相反を監督する考え方が示されています。

記載イメージは次のとおりです。

当社では、支配株主との重要な取引等について、少数株主の利益を害することがないよう、社内規程に基づく審査を行っています。また、必要に応じて独立社外取締役等による審議・検討を行い、その結果を踏まえて取締役会で判断する体制を整備しています。

特別委員会の設置や審議回数などを記載する場合は、実際の運用実績と一致していることを確認しましょう。「設置しているから十分」とするのではなく、指針として定めた少数株主保護策がどのように運用されたのかが分かる内容にすることが大切です。

参考:東京証券取引所「コーポレートガバナンス・コード」
https://www.jpx.co.jp/equities/listing/cg/

参考:東京証券取引所「支配株主との重要な取引等に係る企業行動規範に関する実務上の留意事項等」https://faq.jpx.co.jp/disclo/tse/web/knowledge7790.html

親会社等からの独立性と少数株主保護を説明するポイント

親会社等からの独立性や少数株主保護について記載する際は、制度や組織の有無だけでなく、実際の意思決定プロセスと結び付けて説明することが重要です。

親会社から役員を受け入れていても、それだけで独立性がないと判断されるわけではありません。一方、「独立した経営を行っています」と記載するだけでは、どのような仕組みによって独立性を確保しているのかが伝わりにくくなります。

ここでは、人的・資本的関係、独立社外取締役や特別委員会、利益相反管理などの観点から、説明内容を整理するポイントを解説します。

親会社等との人的・資本的関係をどこまで説明するか

親会社等との関係については、人的関係、資本関係、取引関係などを個別に整理します。

特に、親会社等またはそのグループ会社の役員・従業員が自社役員を兼務している場合や、相当数の出向者を受け入れている場合は、人数や役職、出向元などを具体的に示すことが望まれています。また、そのような体制を採用している理由についても説明すると、グループ内での関係を理解しやすくなります。

例えば、次のような要素を整理します。

  • 親会社の議決権所有割合
  • 親会社出身役員の人数と役割
  • 出向者の人数や配置部門
  • 売上・仕入等における親会社グループへの依存度
  • 資金貸借や保証関係
  • 事業活動における親会社等からの制約の有無

そのうえで、これらの関係が自社の意思決定にどのような影響を与えているのか、独立性を確保するためにどのような体制を設けているのかを説明します。

人的・資本的なつながりがあること自体を避けるのではなく、その関係と独立性確保策をセットで説明することがポイントです。

参考:東京証券取引所「支配株主等に関する事項の開示」
https://faq.jpx.co.jp/disclo/tse/web/knowledge6856.html

独立社外取締役や特別委員会など意思決定の独立性を示す方法

支配株主との利益相反を管理する方法として、独立社外取締役や特別委員会を活用することが考えられます。

コーポレートガバナンス・コードでは、支配株主を有する上場会社について、取締役会に一定の独立性を確保することや、支配株主と少数株主との利益が相反する重要な取引・行為を審議・検討するため、独立性を有する者で構成する特別委員会を活用する考え方が示されています。

ただし、独立社外取締役や特別委員会を設けているという事実だけで、独立性を説明できるわけではありません。

開示では、自社の実態に応じて次のような内容を整理するとよいでしょう。

  • 独立社外取締役の構成
  • 特別委員会を設置している場合の構成や役割
  • 審議対象となる取引・行為
  • 取締役会との役割分担
  • 特別委員会などの意見を意思決定へ反映する仕組み

当期に実際の審議実績がある場合には、公開可能な範囲でその運用状況を説明することも、自社のガバナンス体制を理解してもらうための一つの方法です。

参考:東京証券取引所「コーポレートガバナンス・コード」
https://www.jpx.co.jp/equities/listing/cg/

参考:経済産業省「グループ・ガバナンス・システムに関する実務指針」https://www.meti.go.jp/policy/economy/keiei_innovation/keizaihousei/corporategovernance/guideline.html

「支配株主等に関する事項について」の開示を支える取締役会事務局の実務

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「支配株主等に関する事項について」の開示では、親会社等からの独立性や少数株主保護について、自社の実際の運用と整合した内容を記載することが重要です。

そのためには、開示時期になってから文面を作るのではなく、日頃の取締役会や特別委員会などで、どのような審議を行い、どのような根拠で意思決定したのかを確認できる状態にしておく必要があります。

ここでは、独立性や少数株主保護に関する審議記録の残し方、関連資料の管理、開示内容との整合確認、取締役会DXの活用について解説します。

独立性や少数株主保護に関する審議内容を記録する

親会社等からの独立性や少数株主保護を説明するためには、実際の意思決定プロセスを後から確認できるようにしておくことが重要です。

例えば、支配株主との重要な取引について取締役会や特別委員会で審議した場合は、次のような点を整理しておくとよいでしょう。

  • どのような取引・議案を審議したか
  • 取引条件や価格の妥当性をどのように確認したか
  • 少数株主への影響をどのように検討したか
  • 独立社外取締役や特別委員会からどのような意見が示されたか
  • 最終的にどの機関がどのような判断を行ったか

コーポレートガバナンス・コードでは、支配株主を有する上場会社について、支配株主から独立した社外取締役の選任や、利益相反が生じ得る重要な取引・行為を審議する特別委員会の設置といった考え方が示されています。

ただし、「支配株主等に関する事項について」のために特定の形式で取締役会議事録を作成することが一律に求められているわけではありません。開示内容の根拠となる審議や運用を、社内で確認できる状態にしておくという観点で記録を整備することがポイントです。

関連当事者取引や重要議案の資料・議事録を関連付けて管理する

支配株主等との取引や利益相反が生じ得る重要議案では、取締役会議事録だけを保存しておけば十分とは限りません。

実務では、次のような資料を案件単位で関連付けておくと、後から意思決定の経緯を確認しやすくなります。

  • 取締役会・特別委員会の議案資料
  • 取引条件や価格算定に使用した資料
  • 第三者との取引条件など比較検討資料
  • 独立社外取締役や特別委員会の意見・答申
  • 取締役会・委員会の議事録
  • 過去の「支配株主等に関する事項について」
  • コーポレート・ガバナンス報告書

資料がメール、共有フォルダ、紙資料などに分散していると、翌年度の開示作成時に「なぜこの表現になっているのか」「当期も同じ運用をしているのか」を確認する作業に時間がかかります。

そのため、案件名や会議体、開催日など一定のルールを決めて管理し、議案資料から最終的な審議結果までをたどれるようにしておくとよいでしょう。

特に、関連当事者取引については、取引条件だけでなく、それを承認したプロセスも確認できるようにしておくことで、翌年度の開示内容を検証しやすくなります。

開示内容と取締役会・特別委員会の実際の運用にずれがないか確認する

「支配株主等に関する事項について」は毎年度作成するため、前年の開示資料をベースに更新するケースもあります。しかし、前年の文章をそのまま流用すると、実際のガバナンス体制や当期の運用状況と開示内容にずれが生じる可能性があります。

例えば、次のような変化がないか確認しましょう。

  • 親会社等からの役員兼務人数が変わっていないか
  • 特別委員会の構成や役割が変更されていないか
  • 関連当事者取引の承認フローが変更されていないか
  • 当期に新たな重要取引が発生していないか
  • 少数株主保護に関する社内規程が改定されていないか
  • コーポレート・ガバナンス報告書との記載に矛盾がないか

特に「独立性を確保しています」「特別委員会で審議しています」といった記述は、実際の運用記録と照合したうえで記載する必要があります。

東京証券取引所では、支配株主を有する上場会社について、少数株主保護の方策に関する指針をコーポレート・ガバナンス報告書に記載し、その履行状況を「支配株主等に関する事項について」で開示する仕組みとしています。したがって、複数の開示資料の内容を横断して確認することも重要です。

事務局では、前年資料との比較だけでなく、当期の取締役会・委員会資料や議事録を確認し、開示内容と実際の運用状況が一致しているかをチェックしましょう。

参考:東京証券取引所「コーポレート・ガバナンスに関する報告書記載要領」
https://www.jpx.co.jp/equities/listing/cg/

取締役会DX「michibiku」で重要会議の資料・議事録を管理する

取締役会や特別委員会など複数の会議体で審議を行っている場合、資料や議事録を確認しやすい環境を整えることも、開示実務を支える方法の一つです。

取締役会DXプラットフォーム「michibiku」では、招集通知や議事録などの書類作成支援、AIによる自動文字起こし、電子署名、資料保管などの機能を提供しています。さらに、取締役会だけでなく、経営会議やリスク・コンプライアンス委員会など、会社の会議体構成に応じた重要会議を管理できることが公式サイトで案内されています。

例えば、親会社との重要な取引について特別委員会や取締役会で審議した場合、それぞれの会議資料や議事録をデジタルで管理しておけば、翌年度の開示作成時にも過去の審議内容を確認しやすくなります。

また、michibikuでは会議音声のAI文字起こしや自動要約にも対応しています。審議内容を記録する際の補助として活用できますが、開示資料の根拠とする場合は、実際の発言や決議内容と一致しているか担当者が確認することが重要です。

「支配株主等に関する事項について」の作成そのものをDXツールに任せるのではなく、開示の裏付けとなる会議資料や議事録を日頃から整理し、必要なときに確認できる状態をつくるという観点で活用するとよいでしょう。

まとめ:「支配株主等に関する事項について」の記載内容と社内の審議体制を整えよう

「支配株主等に関する事項について」は、支配株主やその他の関係会社を有する上場会社が、親会社等との関係やグループ内での位置づけ、少数株主保護の方策などを開示するものです。対象となる会社は、事業年度末時点の株主関係を確認し、所定の期限までに必要事項を整理して開示する必要があります。

作成時は、親会社等の商号や議決権所有割合だけでなく、人的・資本的関係、取引関係、経営上の独立性、少数株主保護の方策について、自社の実態に即して具体的に説明することが重要です。前年の開示文をそのまま流用せず、当期の取締役会や特別委員会の運用状況と整合しているかも確認しましょう。

また、関連当事者取引や重要議案の資料、議事録などを日頃から整理しておけば、開示内容の根拠を確認しやすくなります。取締役会DXなども活用しながら、開示実務と社内のガバナンス運用を一体的に整えていくことが大切です。