取締役会規程の改定の進め方!決議事項の抜け漏れを防ぐモデルと見直し手順

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取締役会規程の改定の進め方!決議事項の抜け漏れを防ぐモデルと見直し手順

取締役会規程は、会社の意思決定を支える重要な社内ルールです。しかし、法改正や組織変更への対応が後回しになり、規程と実態がずれてしまう企業は少なくありません。規程が古いままだと、必要な決議が漏れたり、ガバナンス上のリスクを招いたりするおそれがあります。

本記事では、取締役会規程の改定を「現状把握→決議事項の棚卸し→モデル規程との照合→取締役会承認」という4つのステップに沿って解説します。あわせて、決議事項の抜け漏れを防ぐポイントや、改定後も規程を形骸化させないための運用の工夫もご紹介します。

取締役会規程とは?会社法との関係と改定が必要になる理由

取締役会規程がなぜ重要なのか、その位置づけを理解しておくことは、改定を進めるうえでの土台になります。ここでは、会社法との関係や、規程が形骸化してしまう背景について整理します。

取締役会規程の役割と会社法362条との関係

取締役会規程は、取締役会の運営方法や決議事項を具体的に定めた実務上のルールです。会社法362条では、取締役会が「業務執行の決定」「取締役の職務執行の監督」「代表取締役の選定・解職」を行うことが定められています。

取締役会規程は、この法律上の枠組みを、自社の実態に合わせた具体的な手続きへと落とし込む役割を担っています。法改正や組織の変化に合わせて規程を最新の状態に保つことは、コンプライアンス対応の第一歩といえるでしょう。

参考:e-Gov法令検索「会社法」
https://laws.e-gov.go.jp/law/417AC0000000086

定款・社内規程体系図における取締役会規程の位置づけ

取締役会規程は、社内規程の中でも、最上位規程である定款に次ぐ重要な位置づけにあります。定款が会社の根本原則を示すのに対し、取締役会規程は会議の招集方法や決議事項の範囲など、より具体的なルールを定めるものです。

多くの企業では、この規程を土台として職務権限規程や業務分掌規程が設計されています。規程同士の関係を正しく理解しておくことで、改定時に内容が矛盾してしまうことを防げます。

企業規模を問わず起こる「規程の形骸化」という課題

取締役会規程の形骸化は、企業の規模を問わず起こり得る課題です。小規模な会社では、取締役会が名目的な開催にとどまり、規程通りの運営がなされていないことがあります。一方、大規模な会社では組織が複雑になるほど規程の更新が追いつかず、実態との乖離が広がりやすくなります。

どちらの場合も、規程が形だけのものになってしまうと、本来のガバナンス機能を果たせません。定期的な棚卸しと改定によって、この乖離を早めに解消することが大切です。

取締役会規程の改定手順4ステップ|現状把握から承認まで

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取締役会規程の改定は、思いつきで条文を書き換えるものではありません。現状把握から取締役会での承認まで、順を追って進めることで抜け漏れのない改定が実現します。ここでは、実務で踏むべき4つのステップを解説します。

ステップ1.現状把握で規程と実態のズレを洗い出す

改定の第一歩は、現行の規程と実際の運営実態を照らし合わせることです。過去の組織変更で部門名称が変わったにもかかわらず、規程上は旧名称のまま残っているケースがあります。また、実際には取締役会に上程されていない議題が、規程上は決議事項として残っていることも珍しくありません。

過去1年分の付議事項や報告事項を振り返り、規程との整合性を具体的に確認しましょう。この段階で乖離を丁寧に拾い上げておくことが、後の工程の質を大きく左右します。

ステップ2.決議事項を棚卸しし、抜け漏れがないか確認する

現状把握の次は、決議事項そのものを棚卸しする工程に入ります。会社法で定められた専決事項が規程に網羅されているか、また実際の運用と食い違っている項目がないかを一つずつ確認していきます。

この工程を丁寧に行うことで、後述するチェックポイント(専決事項の一覧確認や組織変更への対応)で挙げる課題を、事前に洗い出すことができます。棚卸しの結果は表やリストにまとめておくと、次のモデル規程との照合作業がスムーズに進みます。

ステップ3.モデル規程・ひな形と照合し、機関設計に合わせて修正する

棚卸しが終わったら、最新の法令やコーポレートガバナンス・コードに適合したモデル規程やひな形と照合し、修正案を作成します。ここで重要なのが、自社の機関設計に合わせた調整です。監査役会設置会社と監査等委員会設置会社では、取締役会の権限委譲の範囲などに違いがあるため、そのまま流用すると齟齬が生じます。

書面決議(みなし決議)の導入を検討する場合は、あらかじめ定款に規定しておく必要がある点にも注意しましょう。修正案がまとまった段階で、顧問弁護士など専門家に確認してもらうと、記載ミスによる法令違反のリスクを防げます。

ステップ4.取締役会での決議と議事録の作成

最後の手順は、取締役会での決議と適切な記録です。規程の改廃は、原則として取締役会の決議事項にあたります。決議にあたっては、議決権を持つ取締役の過半数が出席し、その過半数の賛成を得る必要があります。

承認後は、法務省令に基づいて取締役会議事録を作成し、出席した取締役・監査役が署名または記名押印のうえ、本店に10年間保管しなければなりません。この一連の手続きを踏むことで、改定内容に正式な効力が与えられます。

取締役会規程改定の4ステップ

ステップ 内容 主な確認ポイント
1.現状把握 規程と実態のズレを洗い出す 部門名称、未上程議題の有無
2.決議事項の棚卸し 専決事項の網羅性を確認 会社法上の専決事項との照合
3.モデル規程との照合 機関設計に合わせて修正 監査等委員会設置会社等との違い
4.決議・承認 取締役会での決議 過半数出席・過半数賛成、議事録作成

決議事項の抜け漏れを防ぐ!見直すべき3つのチェックポイント

前章の棚卸しをより確実に行うために、特に見落としやすい3つのポイントを詳しく見ていきましょう。

会社法で定められた専決事項一覧を確認する

会社法362条4項では、取締役に委任することができない専決事項が定められています。主な専決事項は、次の通りです。

  • 重要な財産の処分および譲受け
  • 多額の借財
  • 支配人その他の重要な使用人の選任・解任
  • 支店その他の重要な組織の設置・変更・廃止
  • 社債の発行に関する重要な事項
  • 内部統制システムの整備

改定にあたっては、これらの専決事項が規程内に網羅されているか、また「重要」「多額」の判断基準が自社の資産規模に照らして適切かどうかを確認しましょう。基準があいまいなままだと、現場での判断に迷いが生じやすくなります。

組織変更に伴う部門名称・職務権限の反映漏れ

組織変更が頻繁な企業では、部門名称の更新漏れが規程の形骸化を招く大きな原因となります。規程内に古い部署名が残っていると、誰が上程の責任を持つのかが曖昧になってしまいます。

これを防ぐには、組織変更が行われるたびに、連動して規程を見直す運用フローを確立することが大切です。改定の手間を減らす工夫については、次章で詳しくご紹介します。

報告事項の明記と3ヶ月に1回の職務報告ルール

規程には、決議事項だけでなく報告事項のルールも明記しておく必要があります。会社法では、取締役は3か月に1回以上、自らの職務執行の状況を取締役会に報告しなければならないと定められています。(なお、指名委員会等設置会社では、同法第417条第4項により、執行役がこの定期報告義務を負います。)

この報告を漏れなく実施する仕組みを規程に落とし込むことで、取締役会による監督機能が実質的に働くようになります。報告のタイミングや内容を具体的に規程へ盛り込んでおくと、運用がより安定するでしょう。

規程を形骸化させない!改定後も運用しやすくする3つの工夫

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規程を改定しても、運用が伴わなければ意味がありません。事務局の負担を軽減しながら、実効性を保つための工夫を3つご紹介します。

部門名称ではなく「役割指定」で記載する

組織変更のたびに規程を書き換える手間を省くには、具体的な部門名称ではなく「総務管掌部門」といった役割指定での記載が有効です。例えば「印章管理は総務管掌部門が行う」と規程に記載し、別途「業務分掌規程」で現在の総務管掌部門がどの部署かを紐づけます。これにより、部署名が変わっても取締役会規程自体を書き換える必要がなくなり、事務局の負担を大きく減らせます。

別表を分離し、改廃権限を柔軟に設定する

具体的な金額基準や組織図などの情報は、規程本体から切り離して「別表」として管理する方法もあります。別表の改廃権限を代表取締役や担当役員に委ねておけば、実務上の細かな変更のたびに取締役会へ諮る必要がなくなります。これにより迅速な運営が可能になるだけでなく、規程本体の改定頻度そのものを抑えることにもつながります。

michibikuで規程・決議事項を一元管理する

規程の最新版がどこにあるかわからない、改定履歴が整理されていないといった管理の混乱を防ぐには、ITツールの活用が効果的です。取締役会DXプラットフォーム「michibiku」では、規程類や決議事項をデータで一元管理できるほか、招集通知の作成から決議、議事録の作成までを1つのプラットフォームで完結できます。

さらに、AIによる議事録の要約・議論傾向の可視化機能を使えば、規程の運用実態を継続的に把握しながら、実効性評価のPDCAを回すことも可能になります。規程の整備と運用の両面に負担を感じている事務局の方は、こうした仕組みの導入を検討してみてはいかがでしょうか。

まとめ:取締役会規程の改定は「棚卸し」と「運用の仕組み化」がカギ

取締役会規程の改定は、単なる条文の書き換えではなく、規程と実務の乖離を解消する重要な機会です。現状把握から決議事項の棚卸し、モデル規程との照合、取締役会での承認まで、順を追って進めることで抜け漏れのない改定が実現します。あわせて、役割指定による記載や別表分離といった工夫を取り入れることで、改定後の運用負担も軽減できるでしょう。

規程を形だけのものにせず、実効性のあるガバナンス体制を築くための一歩として、今回ご紹介した手順をぜひ参考にしてください。事務局業務の負担軽減や運用の可視化にお悩みの方は、michibikuの導入もあわせてご検討ください。