2026.02.27

オペレーションの「自動化」が取締役会を「戦略の場」に変える。ガバナンスのDXとコーポレートセクレタリーへの進化

株式会社KADOKAWA グループ内部統制局 局長 河合様、グループ内部統制局 大串様、根本様

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プライム市場
情報通信業(メディア)
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KADOKAWAグループでは、「世界の才能と、感動をつなぐ、クリエイティブプラットフォーマーへ」をコーポレートミッションに、世界中から才能を発掘して多彩なIPを創出し、さまざまなメディアで展開。創出したIPをテクノロジーの活用により世界に届ける「グローバル・メディアミックス with Technology」戦略を掲げ、IP価値の最大化を推進しています。同戦略を実現するために、多様なビジネスを展開するグループ全体のコーポレートガバナンスの強化を推進し、子会社の取締役等の職務の執行の効率化を図っています。 今回は、グループ内部統制局 局長 河合様、グループ内部統制局 大串様、根本様にmichibikuの活用状況や、コーポレートガバナンス強化への展望についてお伺いしました。

ポイント
この事例のポイント
事務局リソースの8割が、会議準備や議事録作成、膨大な書類管理などの定型的なオペレーション業務に費やされていた
自社に加えグループ会社の取締役会の議事録作成・確認支援や、アナログな押印作業も業務のボトルネックとなっていた
事務局が注力すべき「攻めのガバナンス」や戦略的企画に割ける時間が、全体の2割程度に留まっていた
システム導入により、事務局リソースの8割を占めていた定型業務を約2割まで削減することに成功
生み出した時間で外部知見の収集や戦略立案が可能になり、業務比率が「オペレーション2:戦略8」へと逆転した
事務局が執行と監督の「結節点」となり、社外取締役への情報共有を強化。「攻め」と「守り」の両面から取締役会を支えるコーポレートセクレタリー化へ踏み出せるようになった

第1章:オペレーション8割。「個人の努力」が支えるガバナンスの限界


KADOKAWA様は、2023年6月から指名委員会等設置会社に移行し、高度なガバナンス体制を構築されています。その裏側で、事務局はどのような課題に直面していたのでしょうか?

根本様
一言で言えば、「事務局が本来やるべき戦略的な業務に、時間を充てられない」ことです。
指名委員会等設置会社への機関設計の変更とともに社外取締役が過半数を占める体制へと変わった一方で、当時、事務局のリソースの8割は、会議の準備、議事録の作成、グループ会社を含めた膨大な書類管理といった「定型的なオペレーション業務」に消えていました。
「取締役会の実質的な監督機能の更なる向上」を目指すうえでは、機関設計の変更と合わせ、事務局業務のアップデートも必要不可欠と感じ、改善すべき課題と認識していました。
大串様
特にコーポレートガバナンスと並行してグループガバナンス推進を担う事務局担当者にとって、子会社を含む議事録の作成・確認支援や押印等の『アナログな手続き』は、本来向き合うべき戦略的課題への投資時間を奪う要因となっていました。当社はこの構造的課題をmichibikuを含めたDXによって解消し、内部統制の質を担保しつつ、生産性を劇的に向上させることを目指しました。

導入前、特に時間と労力を奪っていたオペレーション業務を、より具体的にお伺いさせてください。

大串様
自社に加えグループ会社の一部取締役会に毎月陪席し、議事録作成や確認の支援をしていました。特に、各社の取締役会開催が集中する月末は、会議陪席による拘束時間や議事録作成に追われ、他の業務を行う余裕がない状況でした。指名委員会等設置会社に移行後は、取締役会・経営会議に加え、指名委員会・報酬委員会の議事録作成も担当していました。さらに、各議事録のステータスを把握するため管理表を作成・更新する等、過度な業務が生じていました。

オペレーション業務の逼迫がある中で、本来、事務局として注力すべき「戦略的な企画業務」に充てられる時間は、当時どの程度確保できていましたか?

大串様
率直に言うと、戦略的な企画の策定や検討などに充てられる時間は2割程度でした。上述のような定型業務に加え、M&A案件も加速する中での対応や、グループのインシデント対応にも注力する必要がありました。
もっと時間を充てたい気持ちがありながらも、日々、目の前にある業務に徹する他ない状況でした。

第2章:DXによる事務局運営の構造改革へ。「michibiku」を選んだ理由。

そのような状況下で、解決策としてmichibikuを選定された決め手は何だったのでしょうか?

根本様
まず、このツールを使えば自社及びグループ全体で「業務効率化による時間の創出」「情報集約・分析によるガバナンス強化」を進められると感じたことです。
2023年1月にグループ会社担当者を対象として取締役会運営業務に関するアンケートをとったところ、議事録作成と押印・署名の負荷を感じている会社が過半数を占め、自社のみならずグループ各社も同様の悩みがあることが判明しました。グループ全体でmichibikuを導入し、電子署名、議事録雛形による作成の一部自動化、自動文字起こし、AI要約の利用による業務効率化を目指すことで、成長戦略を支える「攻めのガバナンス」を共に企画・実現できる時間を創出していきたいと考えました。

大串様
また、指名委員会等設置会社としてのガバナンス強化に資する点も重視しました。
各社の取締役会・株主総会議事録や資料を一元管理し、経営管理や監査・内部統制部門がリアルタイムで情報を閲覧できる環境を整えることで、決裁や報告基準の改定等の検討にも繋げられると考えました。
且つ、こうしたツールを取り入れることで、現在社外取締役を中心に運営している指名・報酬・監査委員会の事務局業務の質を保ちながら、社外取締役への情報共有をより円滑にできると考えました。
そして、効率化に留まらず、michibiku上に蓄積された運営データを活用し、当社の取締役会の議論状況のデータ化・可視化が可能になることで取締役会実効性向上にも資すると考え、選定に至りました。実際に、当社で行っている実効性評価アンケートでも、回答時の取締役の参照情報として、michibikuによる会議分析データを添えるようにしています。

第3章:定型的なオペレーション業務からの解放。空いた時間で何が変わったのか

導入後、特に事務局の皆様の負担は、時間的・精神的にどの程度軽減されましたか?定量的な変化があれば具体的にお聞かせください。

大串様
劇的に変化しました。michibikuの導入により、グループ、自社において議事録作成の半自動化と情報の一元管理が実現したことにより、事務局のリソースの8割を占めていた定型的なオペレーション業務は2割程度まで圧縮されたと感じています

グループ会社の事務局の支援にも多く入られていたと思います。グループ会社事務局への引き継ぎなど、業務の「手離れ」も可能になりましたか?事務局として従事する業務に変化もあれば教えてください。

大串様
グループ会社でも、michibikuを使う事で業務効率化と標準化が進んでいます。さらに、空いた時間を使ってグループ会社へ商事法務業務の支援ツールを企画・提供しました。その結果、従来に比べ各グループ会社事務局が自ら判断し、手を動かせる事が増え、結果業務の手離れを実現できています。
また、当社においても、システム内で業務が可視化・標準化され、ガバナンス担当者以外のメンバーが議事録作成等の業務を担当できるようになりました。これにより、事務局がコーポレートガバナンスやグループガバナンス向上のための企画業務に一層時間を充てることができ、ガバナンスの高度化を目指すことができるようになりました。

オペレーションと戦略のリソース配分が大きく変わったのですね。より具体的にお伺いできますでしょうか?

根本様
事務局担当として、今までの時間の使い方がオペレーション:戦略=8:2だったとすると、現在はほぼ逆転した実感がありますね。企画のための早期情報収集にも着手することもできています。具体的には、コーポレートガバナンスに関するセミナーや各省庁・外部団体の講演会に週1回程参加できるようになっています。今までは月1、2回程度参加するのが精一杯でしたから、大きく変わったと感じます。外部から最新のガバナンスに関する知見を収集できる機会が増え、これらの情報を基に戦略的な企画検討や提案ができるようになりました。

事務局の役割自体が、より「攻め」の姿勢に変わってきたのですね。

根本様
その通りです。各委員会の議論が適切に取締役会へ接続されるよう調整したり、社外取締役への情報共有を強化したりと、執行と監督の「結節点」としての役割を果たし始めています。まさに、金融庁が掲げる「コーポレートセクレタリー」への進化を実感しています。


第4章:「攻め」と「守り」の両面から企業価値にコミットする。コーポレートセクレタリー化が『未来の構想を語る取締役会』づくりを支える

ここからは局長の河合様にも伺います。金融庁でも「取締役会事務局の強化」「事務局のコーポレートセクレタリー化」という視点は注目されています。改めて、KADOKAWA様において、事務局の役割をどのように変革させようとしていますか?

河合様
取締役会が単なる決定機関ではなく、企業価値の持続的向上を真に推し進める存在であり続けるために、事務局としても「攻め」と「守り」の両面から企業価値を向上させることにコミットすることが重要だと考えています。経営や執行と常に伴走し、戦略的な支援を行う「攻めのガバナンス」の担い手となりながらも、有事の際の支援も行う「高度なガバナンス」を実現する。これが、KADOKAWAの事務局のコーポレートセクレタリー化であり、目指すべき役割です。
特に、変化の激しい時代においては、脅威や困難、機会への適応力(レジリエンス)とスピードが大切です。事務局はPDCAを回し、取締役会へリスクを含めた情報の迅速なインプットを行い、適切なリスクテイクを推進する。取締役が監督機能を発揮できているか常にモニタリングし更なる成長へと繋げていく必要があります。
そのためには、個人の努力に頼る運営から、テクノロジーを活用した『仕組みによるガバナンス』への脱却が不可欠です。事務局がオペレーション業務から解放されることで、初めて取締役会が『未来の構想』に時間を割くことが可能になり、サポートに集中できるようになるはずです。

創出された時間を活用し、現在、具体的にどのようなコーポレートセクレタリー的な企画や戦略的な取り組みを進めていらっしゃいますか?

河合様
具体的には、大きく4つの施策を進行中です。

①実効性評価を起点とした運営改善の強化とデータ活用
KADOKAWAのガバナンス強化に必要な具体的なアクションを導出できるよう、毎年実効性評価の手法、及び出てきた課題に対する改善活動を行っています。
直近の例を挙げると、実効性評価で「会社の成長戦略に関する議論が足りない」と意見があったことを契機に、michibikuで当社取締役会の発言の種類と時間を分析し、会議の時間の使い方の可視化を実施しています。現在では取締役会だけでなく、指名・報酬委員会でも同様の分析を実施中です。分析結果は、来期のアジェンダ設定にも活かすよう試みています。
そして、各役員へ実効性評価に回答頂く際には、会議の分析結果を参考資料として共有。より定量的な振り返りを促進し、更に深い改善点を引き出し、ガバナンス強化に繋げられるよう、取り組みを続けています。

②アジェンダの再設計
取締役会を、単なる決裁の場ではなく「成長戦略を深く議論する場」へと進化させるためのアジェンダの再設計を続けています。
具体的には、決裁基準を精査し、取締役会に上程すべき議案を厳選。さらに報告方法の効率化などを進めることで、生み出された時間を戦略議論へ重点的に配分できる土台を構築しました。これにより、取締役会の監督機能と執行のスピードを最適化する機能を果たすことができました。今後も、常に未来を見据えた議論を促すための環境づくりを追求したいと考えています。

③各機関の横断的な管理と情報の非対称性の解消
実効性評価の結果から、各委員会と執行側のコミュニケーションを更に深化したいという意見が確認されました。
そこで、独立社外取締役のみで構成されていた指名・報酬委員会において、体制変更を行い、社内取締役からも指名委員・報酬委員を選定したことで、事業の実情に則した情報提供及び議論の充実化を実現しました。これと同時に、取締役会、経営会議、指名委員会、報酬委員会、監査委員会の各事務局にガバナンス担当者を配置。各機関の結節点となり、委員会での議論が適切に取締役会へ接続されるよう調整を行い、その後のプレスリリースや適時開示も一気通貫で確認できる体制を構築しました。
また、取締役トレーニングに関する情報や、社外取締役に対し定期的に経営戦略と関連したガバナンス情報の共有を行う等、情報の非対称性の解消に向けた取り組みも進めています。

④議論の質の向上に寄与するAIツール活用
一部の委員会において、AIツールに会議参加者の属性、過去の逐語・資料・外部要請事項・中期経営計画を読み込ませ、議論プロセスの可視化を行っています。これにより会議時間はそのままに、質の高い議論を推進できるようになっています。
今後はエグゼクティブサマリーにAIが提示する論点を記載することで、リスクの見落としを防ぎ、執行・監督の間に立つ「中立的な事務局」を果たすべく注力していく所存です。

第5章:まとめと今後の展望

今後のmichibikuの機能強化に期待したいことがあれば教えてください。

根本様
現在、michibiku導入により取締役会運営のデータ化は円滑になりましたが、今後はAI機能の更なる拡充により「通常の事務局運営を通じて自然とデータが蓄積・分析される」状態への進化を期待しています。
また、よりダイレクトに取締役の意思決定をサポートできる機能の強化にも期待しています。取締役の意思決定に資する情報提供のサポートや、グループ会社の情報収集からリスクを自動的に可視化・アラート通知出来るようになると、活用の幅はより一層広がるはずです。

事務局のオペレーション実務負担に悩む企業に対し、戦略的な時間を創出することの重要性について、KADOKAWA様からのメッセージをお願いします。

河合様
目の前の業務(緊急度が高いこと)に忙殺され、将来の成長(重要度が高いこと)に手が回らない…といったリソース不足にお悩みの会社も多いと思いますが、変化の激しい現代においては、既存の定型業務をこなすだけでは現状維持すら困難なはずです。「頑張って時間を空ける」のではなく、DXによって構造的に時間を創出するなどのアプローチが必要です。

そして、日本の取締役会においても、全く同じことが言えるどころか、むしろ現在進行形で「日本企業が直面している最大のテーマ」の一つといっても過言ではないでしょう。

ガバナンスの在り方は各社によって異なりますが、取締役会事務局がまず時間を創出し、取締役会と共に継続的に成長していく未来を作ること。事務局がオペレーションから解放されることは、決して楽をすることではありません。
空いた時間で取締役会に「未来の構想」を促し、イノベーションとリスク管理を両立させること。それが、私たちが目指すべきコーポレートセクレタリーの真の姿であると確信しています。

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